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リスク尺度の比較

背景

アセットの収益率は確率的に変動するので、そのアセットから成るポートフォリオの収益率も確率的に変動します。 ポートフォリオ最適化は分布に対する何らかの特徴量(分散、下方部分積率、CVaR)などを最小化しているに過ぎません。 この特徴量はリスク尺度と呼ばれて、どのリスク尺度が優れているかは状況に依って変化します。 一般に複雑なリスク構造を持つアセットを含む場合には、 ポピュラーなマルコビッツモデルが採用しているリスク尺度である「分散」は適切でない場合が多いようです。 特に信用リスクを含む社債ポートフォリオへの応用などの場合には、分布が fat-tail (収益がマイナスになる方向に対して分布の裾野が広い) であり、 分布をコントロールするには、下方部分積率や CVaR といったリスク尺度を採用する必要があります。

リスク尺度の比較イメージ

このサンプルプロジェクトは同一の入力データに対する「最適」ポートフォリオがリスク尺度の違いによってどのように異なるかを具体的に示すものです。

FIOPT による実行フロー

以下はリスク尺度の比較を FIOPT によって表現したフローです。

リスク尺度の比較フロー

中盤に 5 種類のリスク尺度に従ったポートフォリオ最適化モデルに対応するアイコンが並び、 「円グラフ」アイコン(組入比率を円グラフで比較)「ヒストグラム」アイコンに接続しています。 入力データとしては 8000 サンプル 5 銘柄の収益率データを用いています。

リスク尺度の比較モデル

分散や下方半分散をリスク尺度とする場合には二次計画問題、 それ以外の絶対偏差、下方部分積率(1次)、CVaRの場合には線形計画問題として定式化されます。 FIOPT はこれらの問題を解くアイコンを既に備えているので、 そのまま意図通りのポートフォリオ最適化が可能です。

出力

fat-tail な分布をしている 8000 サンプル 5 銘柄の入力に対し、分散を最小化した場合と、 CVaR を最小化した場合、それぞれの最適ポートフォリオの収益率のヒストグラムを比べてみると、 右のようになります。 分散の場合には極端に悪いケースが存在すること、CVaR の場合には極端に悪いケースが少なく、 最悪のケースが改善していることがわかります。

リスク尺度ヒストグラム