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NTTデータ数理システムのデータサイエンスツールで学生が社会課題に挑む
~ベイジアンネットワークで鉄道遅延の要因を分析~

リリースノートのPDF版は こちら から

2021年2月1日
株式会社 NTTデータ数理システム

 株式会社NTTデータ数理システム(本社:東京都新宿区、代表取締役社長: 箱守 聰、以下、NTTデータ数理システム)は、2020年度の「NTTデータ数理システム学生研究奨励賞」(以下、学生研究奨励賞)を決定いたしました。 
 学生研究奨励賞は、当社が学生の研究支援を目的として2003年度に設立した公募型の研究奨励賞で、優れた数理科学領域の研究成果に対して表彰を実施するものです。また、応募された学生には当社で開発・販売しているデータサイエンスツールが無償で貸し出され、研究に活用いただくことができます。2020年度は68件の応募があり、数多くの優れた研究成果を表彰対象として選定いたしました。
 最優秀賞には東京工業大学の清水 裕斗さんの研究成果となる「降雨が都市鉄道の列車遅延拡大に及ぼす影響の分析」が選ばれました。東京メトロ東西線の実際の運行データと気象庁が公開している降水データから、ベイジアンネットワークによる確率推論を用いて天候が列車の遅延に及ぼす影響を分析し、天気予報からリアルタイムでの遅延予測が実現できる可能性が示唆されました。
 また、特別優秀賞には東京理科大学大学院の市川 聖也さんの研究成果「物流倉庫における作業時間と作業者の心理的ストレスを考慮したゾーニングを用いた動的保管割当変更法」を選定いたしました。物流倉庫内におけるピッキング作業の効率化にシミュレーションを活用し、作業員の総作業時間だけでなく心理的ストレスも削減できるような商品の保管割り当てを割り出すアルゴリズムが本研究により開発されました。
 これらの受賞研究成果は2/5(金)に開催されるNTTデータ数理システム主催の【数理システムアカデミックコンファレンスFY2020】にて講演・発表されます。
 NTTデータ数理システムでは、今後もDX社会の担い手となる人材育成に貢献できるよう、本取り組みを継続していきます。

背景およびNTTデータ数理システム学生研究奨励賞について

 昨今、さまざまな業種・業界において事業戦略の実現に向けたデジタル・トランスフォーメーションへの取り組みが一層加速しており、その根幹となるデータサイエンス領域の取り組みの重要性が高まっています。また、その担い手となる数理科学に長けた人材の育成についても同様に重要性が高まっています。
 このような中、NTTデータ数理システムでは学生の学術研究の支援と発表の場の提供を目的として2003年度より「NTTデータ数理システム学生研究奨励賞」を設立し、毎年、公募および表彰を実施しています。
 本取り組みは公募型の研究奨励賞となり、応募いただいた学生(大学院生、大学生)には、当社で開発・販売しているデータサイエンス(データマイニング、テキストマイニング、統計解析、シミュレーション、数理最適化)のソフトウェアが無償で貸し出されます。学生は貸与されたソフトウェアを使用した研究を行い、9月(2020年度は12月)に研究成果を提出します。
 優秀な成績を収められた学生には、最優秀賞、特別優秀賞、優秀賞、秀作、佳作等の各賞が授与され、最優秀賞を受賞した学生には、数理システムユーザーコンファレンス(NTTデータ数理システム主催, 2020年度はアカデミックコンファレンス)で発表頂いています。
 2020年度は68件の応募があり、最優秀賞、特別優秀賞、優秀賞等をはじめ数多くの優れた研究成果を表彰対象として選定いたしました。また、今年度は日本経済新聞社様から「日本経済新聞 記事データ」が提供され、本データを用いた研究も多数応募されました。

学生研究奨励賞:
https://www.msi.co.jp/userconf/student/

2020年度の主な受賞研究成果について

■最優秀賞

受賞者:
東京工業大学 清水 裕斗さん

タイトル:
降雨が都市鉄道の列車遅延拡大に及ぼす影響の分析

研究概要:
 天候が列車遅延に影響を及ぼす要因として、利用客の増加と線路状態、視界の悪化による徐行運転があると考えられます。また、駅での遅延は他の駅での遅延に伝搬していくことで時空間的に拡大していきます。
 この伝搬のメカニズムをベイジアンネットワークによって明らかにすることで、リアルタイムでの数分後の遅延予測、遅延に弱い箇所を把握して遅延に強い運行計画の立案が行える可能性があります。この研究により、ベイジアンネットワークによって都市鉄道特有の複雑なダイヤグラムが再現され、列車間の関係性も示されました。また、ベイジアンネットワークの確率推論を行うことで、降水量のダイヤへの影響力の定量的な評価ができ、リアルタイムでの遅延予測が行える可能性も示されました。ベイジアンネットワークの特徴ともいえる因果関係における優れた可視化能力、複数方向へ同時予測能力が本研究で十分に発揮されました。

図.ベイジアンネットワークによる遅延構造のイメージ(提出資料より抜粋)
図.ベイジアンネットワークによる遅延構造のイメージ(提出資料より抜粋)

※ ベイジアンネットワークとは
 様々な事象間の因果関係(厳密には確率的な依存関係)をグラフ構造で表現するモデリング手法の一つで、故障診断や気象予測、医療的意思決定支援、マーケティング、レコメンドシステムなど様々な分野で利用や研究が行われています。ベイジアンネットワークでは、分析や意思決定に使われる「人の知見」とデータを融合させて要因分析を行うことができます。本研究では、データから遅延現象モデルの構築ができる点と遅延現象の発生/伝播の構造を明らかにできる点に着目がされ、ベイジアンネットワークが採用されました。 

■特別優秀賞

受賞者:
東京理科大学大学院 市川 聖也さん

タイトル:
物流倉庫における作業時間と作業者の心理的ストレスを考慮したゾーニングを用いた動的保管割当変更法

研究概要:
 サプライチェーンの効率化を実現するには、物流倉庫内の作業の効率化が重要です。物流倉庫内の作業のうち、顧客の注文に応じて保管棚から商品を回収するオーダーピッキングがあります。物流倉庫の自動化は進んでいる一方で、小規模な倉庫ではこのような作業は人手に頼っているのが実情です。一つの棚では同時に複数人の作業ができないため、待ち時間が発生し作業効率が悪化します。また、混雑による心理的なストレスの増加も重要な作業効率を悪化させる要因となります。この改善に向けては、物流倉庫内をいくつかのゾーンに分割し、エリアごとに作業者を分けることで作業効率を改善する事に加え、作業者の心理的ストレスによる作業悪化を回避する事が重要な課題となります。本研究ではマルチエージェントシミュレーション(※)を使い、ゾーニングによる作業時間の効率化だけでなく、心理的ストレスも削減できるような商品の保管割り当てを割り出すアルゴリズムを開発しました。

図.シミュレーションイメージ(提出資料より抜粋)
図.シミュレーションイメージ(提出資料より抜粋)

図.ゾーニング(提出資料より抜粋)
図.ゾーニング(提出資料より抜粋)

※ マルチエージェントシミュレーションとは 人や車等、一定のルールに従って行動するエージェントの振る舞いをシミュレーションすることで、エージェント同士の相互作用から起こる複雑な現象を分析する手法です。今回の研究では、作業者の動きをマルチエージェントシミュレーションで再現し、作業者同士の競合によって起こる混雑や心理的なストレスを評価されました。

今後について

 最優秀賞、特別優秀賞の受賞者には、2/5(金)に開催されるNTTデータ数理システム主催の【数理システムアカデミックコンファレンスFY2020】にて研究成果を発表していただきます。

数理システムアカデミックコンファレンス FY2020(オンライン開催)

 当社製品をご利用頂いている各学術研究機関の研究者によるご講演及び、2020年度の学生研究奨励賞で優秀な成績を収められた方に研究成果を発表していただきます。
開催日時:2021年2月5日(金) 10:00~17:00
詳細・お申込み:https://www.msiism.jp/academicconf2020.html

【本件に関するお問い合わせ先】

株式会社NTTデータ数理システム
営業部
嶋田
Tel: 03-3358-6681: Mail: sales@msi.co.jp