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導入事例 独立行政法人国際協力機構様・株式会社マイナビ様・JRシステム様 独立行政法人国際協力機構様・株式会社マイナビ様・JRシステム様

50年以上の歴史を誇る青年海外協力隊。 その運営団体である国際協力機構(以下、JICA)様では、マイナビ様、JRシステム様とのアライアンスにより、応募選考マッチングシステムの開発に取り組んでいる。 数理最適化によるルールドリブンのアプローチのシステムが要件とされ、開発に数理計画法パッケージNumerical Optimizerが採用されている。 このアライアンスの詳細について、各ご担当者に取材した。 >印刷用 PDF

Interview
応募者の質の担保と合格者数の最大化を目指す

今回のアライアンスに至る経緯を教えていただけますか。

澤田様 私の部署は青年海外協力隊の選考を行っており、年間約2,000人の応募者を、約3,000件のポスト(派遣要請のある業務)に対してマッチングさせています。 この事業は50年以上の歴史があり、累計5万人以上の隊員を派遣してきましたが、近年は国内の労働力不足などの状況により応募者数が伸び悩んでいました。
特に課題となっていたのはマッチングの方法で、スタッフや外部嘱託の有識者による手作業で行うことが多く、また、複数の職種カテゴリへの応募に対応できず、応募者にとって合格のチャンスが制限される状況もありました。 協力隊の質を担保しつつ派遣者数を伸ばすためにはどうすべきか、最新の技術やアイデアを導入すべく一般競争入札を行った結果、マイナビ様が選考支援業務を受注されることになりました。

アライアンスでの役割を教えていただけますか。

朴様 私はマイナビでJICA様が行う応募管理のプラットフォーム構築と、ポストと応募のマッチングシステムのツール開発進行を担当しています。 マイナビは多くのポータルサイトを運営しており、それぞれにマッチングのアルゴリズムを搭載しています。 また1,000以上のお客様に独自の採用管理データベースをご提供しており、それらをカスタマイズしてJICA様の応募管理プラットフォームを構築しています。 マッチングシステムに関しては、数理最適化によるルールドリブンのアプローチという要件に基づき、この分野での開発経験が豊富なJRシステム様に構築を依頼しています。

亀山様 JRシステムでは数理最適化のシステムやパッケージの開発をしており、その際、Numerical OptimizerなどNTTデータ数理システムのツールを活用しています。 今回も同様の手法でJICA様のマッチングシステムを開発中で、2020年の本格稼働を目指して作業を進めています。

パプアニューギニアで働く助産師の隊員(写真提供:JICA)

データの中に埋もれたルールを制約として掘り出し、Numerical Optimizerで最適解を出す

数理最適化のロジックをお選びになった理由は何ですか。

澤田様 JICAにはこれまでの派遣に関連して、海外各国からの要請データからそれに対する応募者データまで膨大なデータがあり、これをしっかり整備、分析することがマッチングシステム構築の出発点だと思いました。 今はAIや機械学習系がブームなので、当初は既存データをディープラーニングなどのAIに入れれば最適なマッチングが得られるかもしれないと思いました。 しかし、その場合は過去のルールに依存した結果しか今後も導き出すことができません。 今あるデータから現状の応募者の実態を把握した上で、現代のニーズに合ったマッチングのルールを関係者で議論し、その上でロジックを構築していく、いわゆるルールドリブンの選考体制を築くことが必要だとの結論に至りました。 そのために必要だったのが数理最適化のロジックでした。

朴様 JICA様の事業は公共性が高く、選考過程を説明できるようにしておかなければなりません。 またポストと要請の組み合わせの最適化問題ですので、数理最適化のNumerical Optimizerを採用しました。

Numerical Optimizerによる開発状況はいかがですか。

亀山様 応募者の希望を叶えようとするほど合格するポストが少なくなっていきます。 希望を無視すれば合格者数を増やすことはできますが、最悪、応募者が希望しない国に合格する結果となり、辞退のリスクが高まります。 それぞれが矛盾する制約や目的関数を両立させながら、いかに最大公約数となるような答えを出すか。 JICA様やマイナビ様と打ち合わせを重ね、データや結果を見ながら不足データなどを洗い出してシミュレーションを行い、それを現場の方にお見せして、そのフィードバックをもとに各項目のルールを紐解いて重みづけをし直す。 そのような作業の繰り返しで開発を進めています。手間のかかる作業ですが、Numerical Optimizerのおかげで開発は順調に進んでいます。

マッチングシステムのメリットや効果は何でしょうか。

澤田様 これまでは1回の応募で1つの職種カテゴリにしか応募できませんでしたが、マッチングシステムにより応募者全員を一度に選考できるようになるため、複数のポストへの応募が可能となります。 この点が最大のメリットといえるでしょう。 それによって応募のチャンスが増えますし、結果的に合格者数の増加も期待できます。 また、ポストによっては応募が少ないものがあるのですが、その平準化にも役立ちそうです。 もちろん、面接官やスタッフの負荷の軽減や作業効率の向上にも期待しています。

澤田さんご自身もデータ分析をされるそうですね。

澤田様 応募者の志望動機や辞退理由を深く知りたいと思い、JICAにあったデータの整理やその解析をしていました。 テキストマイニングなどを進めていくうちに、そのツールとしてText Mining StudioやVisual Mining Studioを知り、実際に使ってデータに触れているうちに、その奥にさまざまな事象や理由が隠れているのが見えてくるなど、目的に応じた適切なデータの扱い方が分かるようになりました。 今回、マッチングシステムのロジックに数理最適化を選んだ理由には、そういった私のデータ分析の経験もあります。

今後の展望をお聞かせいただけますか。

澤田様 マイナビ様やJRシステム様のお力を借りてマッチングの精度を高めていきたいと考えています。 そうなれば合格者の満足度も高まり、辞退者や派遣後の離脱者の減少につながるでしょう。 最終的には、ポストのレコメンデーションも視野に入れています。 協力隊には多数のポストがあり、レコメンドで応募者が初めて気づくようなものがまだまだあります。 そうすればマッチングの精度向上や合格者の増加につながるはずです。 その際は、もしかしたらAIや機械学習が向いているかもしれません。 そうして応募の間口を広げることで応募者数も増えていくはずですし、それによって国民の参加型事業としての意義を高めていきたいと思っています。

打ち合わせの様子

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