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導入事例 東京ガス株式会社様 東京ガス株式会社様

東京ガス 営業イノベーションプロジェクト部では、地域冷暖房やビルなどに設置されているエネルギー設備をコストや省 CO2 面で最適運用するためのプログラム「オプトパス®」を開発した。 Numerical Optimizer を分析エンジンとして、1 年間を通したエネルギーコストを最小化する画期的なプログラムだ。 >印刷用 PDF

Interview
地球温暖化防止などのために、エネルギーの効率的な利用の道を探る

「営業イノベーションプロジェクト部」とはどのような部署ですか。

細野様 社会のエネルギーシステムを ICT を活用してもっと効率的に便利にできないか、という課題を持って作られたのが私たちの部署です。 大型の業務用建物や工場、商業施設、あるいはひとつの地域で、冷暖房や給湯をまかなうエネルギー設備が設けられていますが、そこではガスと電気をエネルギー源として冷暖房用の冷水や温水、蒸気などがアウトプットされ、供給されています。 その冷水や温水などを作る際の効率を高めることを目指しています。

オプトパスの開発はいつから始まったのですか。

細野様 発案は 2004 年です。当時は京都議定書の発効を控えて、温暖化防止対策や化石燃料の枯渇問題、さらに持続可能な社会システムの構築(サスティナビリティ)などが社会の大きな課題となっていました。
当社はガスはもちろん、ガスを燃料として発電した電気も供給していますが、そうしたエネルギー会社としてできることは何かと考えたとき、エネルギー設備の効率的な稼動という課題に行き着いたのです。設備は基本的にビル単位ですが、ガスおよび電力のバリューチェーンまで考慮して各単位で効率の最適化を徹底すれば、最終的にガスや電気の全体的な使用抑制と効率的な利用につながる、つまり社会システム全体の最適に結びつくと考えました。そのためのプログラム開発を企画したのです。

複雑な数理計算のため、プロのプログラミングが必要と判断 オプトパスはどのようなプログラムですか。

細野様 お客さまのエネルギーコストを年間を通して最小化することを目的関数とし、エネルギー設備にある機器ごとの最適な運用方法を導き出すプログラムです。コストは使用量に直結しますから、コストを下げることで使用量も CO2 排出量も抑制できる、という考えです。また、省エネルギー法や CO2 排出規制にも対応し、目標とする年間の消費エネルギー量や CO2 排出量を上限として設定し、その枠内でコスト最小化を図る分析も可能です。
計算方法ですが、例えばお湯を沸かすにしても、夏より冬のほうが沸きにくいですよね。つまり冬はエネルギーコストがかかるわけです。同様に一日を通してみても昼夜でさまざまな差があります。さらに機器によって効率には差があり、また運転の仕方でも効率が変わります。その上、施設の冷暖房や給湯の使用量も刻々と変わります。こうした一切合切を計算して、毎日毎時、どの機器をどのように運転したら、1 年間を通して最もコストが下げられるか、その解を求めるわけです。

お客さまのエネルギー設備のイメージ

数理システムに開発協力を依頼した経緯を教えてください。

細野様 当初は社内で開発しようと思っていましたが、計算が複雑になりすぎて、このままでは頓挫すると思いました。そこで、プログラミングのプロにお願いしようと、以前から別の部署の開発案件でお付き合いのあった数理システムに相談しました。そうしたところ「このままでは要件が多すぎて計算が発散し、結果が出ない事態に陥ります」と言われ、その難しさを改めて実感しました。
そこで、まずは解が出せる範囲でどこまで作れるか、というところから始めました。また当時、数理システムのほうでも多数の緩和解から近似解法を使うことでよりよい解を組み立てる手法を持っていて、それを活用するなどして開発を進めました。

電気料金の計算が難しかったと聞きました。

細野様 電気料金は基本料金と従量料金の 2 部制となっており、基本料金は、1 年間で最も利用した瞬間の電力量(電力ピーク)で決まります。その際、通常使っている機器ではなく、別なものを使えばもっと電力ピークが下げられ、基本料金の抑制につながることがあります。逆に、基本料金を高く設定したほうが、年間を通して見たときに最適になることも。それらを機器の効率や利用状況なども詳細に加味しながら計算、検証し、最適な解を導き出す必要がありました。
したがって計算量は膨大です。星の数どころではなく、もっと限りない数に上ります。それらのプログラミングを一つひとつ、数理システムとディスカッションしながら積み上げていきました。

開発に10年の時間をかけたそうですね。

細野様 そもそもまったく新しい概念のプログラムで手探りでの開発だったほか、精度を高めるために試行錯誤を繰り返したり、ある程度の成果が出るとさらに別な計算を加えたくなったり、それで時間がかかりました。また、エネルギー設備の進化や、電力自由化により料金計算がさらに複雑になるなど、世の中の情勢に対応しながら開発を進めたということもあります。そのたびに焦らずじっくり取り組んだことで、数理システムの職人技のようなチューニングや作り込みが随所に施されたプログラムになりました。彼らなしにはここまで開発できなかったと思います。
オプトパスという名前は、Optimal Path Navigator(オプティマル・パス・ナビゲーター)の略で、最適な道を案内しますよ、という意味です。数理システムの「Numerical Optimizer(旧名称:NUOPT/ニューオプト)」とは 10 年来の付き合いの中で大変お世話になったこともあり、それにちなんだ名前はどうしても付けたいと思っていました。

オプトパスを活用し、追加投資不要のコスト抑制提案をお客さまへ 今後の展開についてお聞かせください。

細野様 オプトパスを用い実際にエネルギーコスト削減効果の検証を進めてきました。その結果、5 %程度のエネルギーコスト削減効果が平均的に出せています。この効果であれば、お客さまに納得していただけると考えています。実際に当社で運営しているエネルギー設備の運転計画で運用したところ、コスト抑制/収益向上という実績も出ています。
エネルギー設備運用の現場では、通常は担当者の経験や勘をもとに運転しています。しかし、オプトパスがあれば、例 えば先ほどの電気の基本料金のような、人の頭では考えられないような解も短時間に出せます。その結果、以前よりも運転コスト削減につなげられるはずです。
オプトパスは今後、既存エネルギー設備の最適運転コンサルティングや、新規エネルギー設備の設計や機器更新時における最適設計の提案などに活用できると考えています。
さらには、エネルギー設備内の各機器にセンサーやコントローラーを設置し、運転計画の立案からその実行まですべて当社で代行する IoT ソリューションの展開も視野に入れています。
これらによりお客さま先の各エネルギー設備でその利用の最適化をいっそう進展させ、CO2 削減やサスティナブル社会の推進などに広く貢献していきたいと考えています。

オプトパスを活用した最適運転計画立案のイメージ

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