数理システム 最適化メールマガジン

バックナンバー ( 2012 Vol.4 ) 2012 年 7 月 19 日 発行

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  数理システム NUOPT メールマガジン  http://www.msi.co.jp/nuopt/
                           2012 Vol.4 ( 2012 年  7 月 19 日 発行 )
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数理システム NUOPT メールマガジンでは,数理計画法パッケージ NUOPT 
に関する様々な情報やご案内を提供していきます.

++++ [目次] ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
 ■ <セミナー> ウェブマーケティングセミナー開催!!
 ■ <トピック> 最新パッチリリースのお知らせ
 ■ <トピック> 数理計画用語集 用語追加
 ■ <トピック> 出展のご報告
 ■ <トピック> 数理計画問題の豆知識(第 12 回)
 ■ <  tips  > SIMPLE 記述のテクニック(第 8 回)
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■ <セミナー>  ウェブマーケティングセミナー開催!!
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2012 年 8 月 29 日に年に 1 度の企画セミナーとして,株式会社リクルー
ト様より特別講師をお招きし,ウェブマーケティングセミナーを開催を致
します.最先端の事例から調査・研究までを紹介致します.

・膨大なデータを有効に活用したい方
・最先端のソリューションを取り込みたい方
・マーケティングの新しいヒントが欲しい方

にお勧めのセミナーになっております.本セミナーの話題としては,レコ
メンド,アドネット,データフュージョン,テキストの活用方法等,デー
タマイニングから数理最適化までの道のりをわかりやすく説明致します.
ウェブコンサルや,ネットビジネス,マーケティングの分野で活躍されて
いる方にはマッチしたセミナーとなっております.奮ってご参加ください.

特別講演は以下のような内容になっております.

  「フラッシュマーケティングサイトにおけるリコメンドメールの
    最適化  事例紹介」
    特別講師:
      株式会社リクルート
      カスタマーアクション プラットフォームカンパニー
      ネットビジネス推進室 
      CRM・ポイント ID グループ
        大澤 健太郎 様

本企画セミナーの詳細につきましては以下をご参照ください.
  http://www.msi.co.jp/nuopt/seminar/seminar_marketing.html

その他,通常運営のセミナーは以下のようになっております.

---- [ NUOPT セミナー開催日程 ] ----------------------------------
 ・8 月  2 日(木)13:30 ~ 17:30 NUOPT 金融工学セミナー
 ・8 月 30 日(木)13:30 ~ 16:30 最適化入門セミナー

会場:
  (株)数理システム・セミナールーム
      (東京都新宿区新宿二丁目 3 番 10 号新宿御苑ビル 4 階)

お申し込み先:
  (株)数理システム << NUOPT >> 担当  < nuopt-info@ml.msi.co.jp >

セミナーの詳細:
  下記 URL をご参照ください.
    http://www.msi.co.jp/nuopt/seminar/index.html
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                                                 (岩永 二郎)

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■ <トピック>  最新パッチリリースのお知らせ
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前回のメールマガジンで予告しましたが,NUOPT V14 用のパッチの詳細が
決まりましたので,ご連絡します.

今回のパッチでは,次の問題点が修正されております.

・非線形計画問題を解く際に underflow によって Windows 版で動作が
  遅くなるケースの解消
・global を用いた際の浮動小数点エラーが出るケースの解消
・切除平面法でのメモリーエラー解消
・Matrix, Vector を含む制約式を Constraint に代入するとエラーになる
  ケースの解消
・残差表示の異常の解消など細かなバグフィックス
・非線形計画問題でクロスオーバーが起動されてしまう問題の解消
・GUI にプロジェクトをインポートした際の問題の解消
・Excel 連係の対象にする際の問題の解消
・Excel 連係のインストール・アンインストールに関する問題の解消

詳細およびダウンロードのページへは,次の URL からご覧ください.

  http://www.msi.co.jp/nuopt/user/patch/v14patch.html

                                                 (新田 利博)

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■ <トピック>  数理計画用語集 用語追加
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弊社数理計画部では「数理計画用語集」を公開しています.
  http://www.msi.co.jp/nuopt/glossary/index.html

今回の新語・改修用語は以下の通りです.

  <新語>
     ・切除平面法
     ・近接勾配法
     ・双対変数

  <改修用語>
     ・ポートフォリオ

ご意見,ご要望等ございましたら,お気軽に用語集編集委員会
  nuopt-glossary@ml.msi.co.jp
までご連絡ください.

                                                 (村山 昇)

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■ <トピック>  出展のご報告
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2012 年 7 月 12 日(木)~ 13 日(金)にベルサール八重洲にて開催さ
れました,Global Market Solutions 2012 金融市場国際フォーラムにて出
展及び講演を致しました.以下は講演のタイトルです.

金融統合プラットフォーム FIOPT 
~統計・最適化・シミュレーションの融合が導く未知のソリューション~

今後も様々なイベントに参加予定でございますので,どうぞよろしくお願
い致します.

                                                 (佐藤 誠)

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■ <トピック>  数理計画問題の豆知識(第 12 回)
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このコーナーでは数理計画に関連する豆知識をご紹介していきます.

第 12 回目となる今回は,施設配置問題と呼ばれる問題群について紹介い
たします.

施設配置問題が意味する問題の範囲は非常に広いですが,大まかには「空
間内において,(広い意味での)需要地をカバーする最適な点を選択する
問題」の総称と言えます.ここで言う「最適」という言葉の意味や,ある
いは選択できる地点の種別等に応じて,多様な施設配置問題を考える事が
出来ます.

最も古典的な施設配置問題は Weber 問題[1][2] と呼ばれる問題で,配置
する施設は単一であり,施設の配置場所は任意(連続的),また施設と需
要地との間のコストは,重み付きのユークリッド距離で与えられます. 
Weber 問題はあまり現実的な問題設定ではありませんが,定式化の基本と
して重要です.

現在,施設配置問題を考える際には,配置する施設の数が単一という事は
ほとんど無く,複数施設の配置を同時に考慮する必要があります.また,
現実的な問題設定として,施設の配置場所はあらかじめ候補地が離散的に
与えられます.この様な設定の下で,「最適」な配置の解釈として大きく
二つの考え方があります.

考え方 1:
  需要地から,最も近い施設への距離の「合計」を最小にする様に,施設
  の配置場所を選択しよう

考え方 2:
  需要地から,最も近い施設への距離の「最大値」を最小にするように,
  施設の配置場所を選択しよう

それぞれの考え方には一長一短がありますが,それらの是非はともかく,
前者の考え方は median 問題と呼ばれ,後者の考え方は center 問題と呼
ばれています.配置する施設の数 p があらかじめ与えられている場合,こ
れらはそれぞれ p-median 問題,p-center 問題と呼ばれます.

また,各施設に対応できる需要の上限が設定されているかいないかという
分類軸もあり,それぞれ「容量制約つき」「容量制約なし」といった接頭
語が付く事もあります.例えば,最も近い施設への距離の合計の最小化が
目的で,施設の数が決定済であり,なおかつそれら施設の上限が決まって
いる場合は,容量制約付き p-median 問題,となります.

上述の分類に限らず,施設配置問題には膨大な派生形が存在します.今回
の記事では割愛しましたが,詳しくは [1][3] 等をご覧ください.

さて,今までの話は主に数理計画の視点からの施設配置問題の紹介でした.
実際に現実の問題を施設配置問題として取り扱ってみると,数理計画の視
点以外にも,さまざまな要素を考慮する必要がある事に気づかされます.

まずは,入力データの問題です.数理計画問題として取り扱うには,施設
と需要地の間の所謂「距離データ」が正確に与えられている事が前提にな
ります.
しかしながら,現実に即した距離データを構築する事は,それ程簡単な問
題ではありません.

次に,最適解が持つ「説明力」の問題があります.数理計画問題を解いた
結果得られる最適解は,つまるところ「施設を何処に配置するか」という
情報しか有しておらず,何故その配置になったのか,という根拠を最適解
そのものが有している訳ではありません.勿論,その最適解を得るために
内部で動いているアルゴリズムが正しければ,最適解が得られる事は間違
いありません.
しかし,ユーザーが求めている「説明力」というのは,それとは少々異な
る事があります.一例ですが,他の直感的に有望そうな配置と比べて,最
適解の方が良い配置であるという事を並べて説明するという手段がありま
す.

最後に「視覚化」という問題もあります.どの施設がどの需要地に対応し
ているか,という情報は,数値やテーブルで与えられてもピンと来るもの
ではありません.
これらを分かりやすい形で地図上に表現する事も,施設配置問題の課題と
言えるでしょう.

以下は,施設配置問題を取り扱った NUOPT の事例の一つです.施設配置問
題の応用例として,ご参考にしていただければ幸いです.
  http://www.msi.co.jp/nuopt/solution/gis/case_facility.html

参考文献:
[1] 久保幹夫,田村明久,松井知己 "応用数理計画ハンドブック",
    朝倉書店,2002
[2] 久保幹夫,"ロジスティクスの数理",共立出版,2007
[3] Andreas Klose and Andreas Drexl, Facility location models for 
    distribution system design, European Journal of Operational 
    research, 2003

                                                  (原田 耕平)

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■ <  tips  >  SIMPLE 記述のテクニック(第 8 回)
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このコーナーでは,SIMPLE のモデルファイルの記述に際して,知っておく
と得をするテクニックや,マニュアルでは紹介していない便利な機能など
について,日々 SIMPLE を使用し開発している立場から紹介させて頂けれ
ばと思います.

今回は,SIMPLE での集合族の取り扱い方法について,ご紹介いたします.

集合族とは,集合の集合の事を指します.SIMPLE で集合族を取り扱う直
接的な方法としては,添字付き集合を利用する方法があります.例えば,
下記のように記述する事で,集合族が表現できます.

------------------------------------------------------------------
Set I; Element i(set=I);
Set J(index=i); Element j(set=J[i]); // J は i で添字づけられた集合
J["10"] = "1 2 3"; J["20"] = "1"; J["30"] = "1 3";
Parameter P(index=(i,j));
P[i,j] = i+j;
Parameter Q(index=i);
Q[i] = sum(P[i,j], (j, j<J[i]));
Q.val.print();
------------------------------------------------------------------

このような添字付き集合による表現方法の他,下記モデルのように,多次
元集合を使用する方法があります.

------------------------------------------------------------------
Set I; Element i(set=I);
Set J; Element j(set=J);
Set IJ(dim=2, superSet=(I,J)); // 多次元集合
IJ = "10 1 10 2 10 3 20 1 30 1 30 3"; // J[i] を展開した表現
Parameter P(index=(i,j));
P[i,j] = i+j;
Parameter Q(index=i);
Q[i] = sum(P[i,j], (j, (i,j)<IJ));
Q.val.print();
------------------------------------------------------------------

上記モデルでは,先ほどの集合族 J[i] のかわりにそれを展開した多次元
集合 IJ を用意し,j < J[i] を (i,j) < IJ と表現する事により,先ほど
と等価なモデルを実現しています.superSet=(I,J) は,IJ が集合 I と J
の積集合の部分集合であることを指定するオプションです.これにより,
IJ の 1, 2 次元目の要素がそれぞれ I, J の要素であるということがシス
テムへ通知されるので,IJ の要素定義をすることで,I, J の要素が自動
的に設定されるようになります.

多次元集合による表現は,多くの場合,添字付き集合による表記よりも非
常に柔軟です.これは,添字付き集合の場合と異なり,i と j の間に暗黙
的な主従関係が仮定されないためです.したがって,多次元集合による表
現の場合,下記のような表現も合法となります.

------------------------------------------------------------------
Parameter R(index = j);
R[j] = sum(P[i,j], (i, (i,j) < IJ));
------------------------------------------------------------------

同様なことを添字付き集合を使った場合に行おうとすれば,煩雑な表現に
なるでしょう.添字間に明確な主従関係が無い限り,多次元集合による表
現を利用する事をお勧めします.

いかがでしたでしょうか.多次元集合を用いたフラットな記法を採用する
ことにより,表現に柔軟性が生まれます.集合族を使う場面に出くわした
場合,まずは多次元集合による表現を検討していただければと思います.

それでは,次回以降もよろしくお願いいたします.

                                                  (白川 達也)

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