連続シミュレーションとは、システムダイナミクスなどの、時間経過とともに連続的に変化する状態量を分析するためのシミュレーションです。
システムダイナミクスでは、システムの内部構造をモデル化して、その挙動をシミュレートすることで、対象システムの動的特性を解明します。具体的には、システムを構成する要素間の関連性を常微分方程式(ODE,Ordinary Differential Equation)を用いてモデル化します。
例えば、Lotka-Volterra方程式は、捕食者と被食者の関係をモデル化した次の(非線形)微分方程式で記述されます。

ここで
- x は被食者の個体数
- y は捕食者の個体数
- t は時間
- α、β、γ、δ は自然増加率、捕食による減少率、自然減少率、捕食による増加率
を表します。
この方程式では、
- 捕食者が増加することで被食者が減少し
- 被食者が減少することで捕食者が減少し
- 捕食者が減少することで被食者が増加し
- 被食者が増加することで捕食者が増加し
- …
という周期的な変動パターンが得られます。
このような微分方程式の解を解析的に得ることは、特殊なケースを除いて、一般的には難しいですが、連続シミュレーションでは、これらの方程式の数値解を求めることが出来ます。
また、インフルエンザなどの感染症の広がりのモデル化においては、非感染者(S)、感染しているが発症していない者(E)、発症者(I)、治癒者(R)を変数し、それぞれの変化量を、感染率、治癒率というパラメータを用いた常微分方程式としてモデル化します。
ここで
- S は非感染者(免疫を持たないもの)
- E は感染しているが発症していない(潜伏期間)者
- I は発症者
- R は病気が治癒した者
- t は時間
- m、b、a、g は出生率、感染率、発症率、治癒率
を表します。
感染しているが発症していない人は観測できませんが、観測可能な感染者数などのデータを用いてモデルパラメータを求めることで、観測出来ない潜伏期間の感染者の時間変化までをも明確にする事が出来ます。
このように、システムダイナミクスが利用される場面は、公共政策・社会問題、エネルギー・資源政策、環境・生態系のシミュレーション、感染病、マーケティング、製品・技術開発等さまざまです。このようなシミュレーションを行う事で、様々な要因が相互作用しながら変化している社会システムの構造を明らかにする事が出来、システム構造を把握した予測を行う事が可能となります。