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離散イベントシミュレーション

離散イベントシミュレーションとは、待ち行列型モデルの混雑現象を分析・評価するためのシミュレーションのことです。離散イベントシミュレーションではシステムの状態変化が離散的に起こります。システムの状態変化を起こすトリガは事象(イベント)と呼ばれ、それが離散的に起こるので離散イベントシミュレーションとなります。

待ち行列型のシステムでは、有限のサービスを提供する為に、サービスが処理できる量を超えた入力がある場合に混雑が発生します。待ち行列型のシステムにおいて、事象とは客の到着やサービスの終了などになります。

私たちの身の回りには様々な混雑や待ちの現象が存在します。例えば、朝、出勤する際には

といった具合になります。

待ちは混雑により発生します。これは、提供されるサービスの容量を超えてそのサービスの利用者が集まるからです。道路の渋滞は道路の容量以上の車が通行することで生じますし、エスカレータの混雑も、エスカレータで運べる人以上に人が乗ろうとすることで生じます。これ以外にも、電話、インターネットなどの通信でも、目に見えない混雑や待ちが発生しています。

これを解消する為に、混雑しないように規制を掛ける方法もありますが、それでは問題を解決したことにはなりません。また、きちんとした対策を採ることで混雑を緩和することが可能です。

例えば、電話システムは、顧客同士を直接繋ぐのではなく、顧客を一旦その地域の電話局に繋ぎ、電話局と電話局の間を中継回線でネットワーク状に繋ぎ、それを多数の顧客がシェアするようにしています。仮に顧客同士を直接繋ぐとすると、膨大な量の回線が必要になります。このように電話局間の回線を共用することで、回線の数を格段に少なくすることができます。ただし、回線数が少なすぎれば電話は繋がらず、顧客はいらいらさせられ、逆に、いつでも繋がるほど質の良いサービスを提供しようとすると膨大な投資を必要となりそれが電話代に跳ね返ってきます。

そこで、適正な電話回線数を算出しようと確率論を利用した『待ち行列理論』が研究されました。デンマークの電話会社技師アーラン(A.K. Erlang)により最初の重要な研究結果が発表されたのが1917年です。この研究により、例えば混雑の為につながらない確率を1/100以下に抑えるには、どの程度の回線数が必要か?という事が計算できるようになりました。

しかし、理論的・解析的に計算できる為には様々な条件をクリアしなくてはならず、現実世界の問題に適用するのは難しくなります。しかし、シミュレーションでは、複雑な状況でもそれらを数値的に調べることが可能です。このように、実際、製造工程やマテリアルハンドリング、ロジスティクス、サプライチェーン、交通、通信、コンピュータシステム、ヘルスケアなど、解析的に分析するには複雑すぎるシステムを分析する手法として用いられています。