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生産ライン設計の最適化

背景

生産ラインを新規に設計、あるいは、改良する事を考えた場合、単純に生産量の増加のみを目標とする事は出来ません。物を作るには材料、作業員や作業機械、作業場所が必要となりますが、それらにはコストを要します。そのため、仮に生産量を増やす事が出来たとしても、生産するためのコストが増大してしまい、結果として利益があまり増加しない場合もありますし、場合によっては、利益の減少をまねきかねません。

生産ラインイメージ

今まで多くの製造業では、ベテラン技術者の勘や経験を頼りに製造プロセスの改善がなされていました。しかし、このような方法では、ノウハウの共有が困難となり、特に日本では、2007 年問題、2012 年問題と呼ばれる社会問題にもなっています。更に情報処理技術の発展した近年では、消費者の嗜好や市場環境の変化への柔軟かつ迅速な対応が不可欠となっています。そのため、生産ラインを設計するためのシステマティックな方法が求められています。

生産ラインシミュレーション

実際に、様々な生産ラインを作って、最適な生産ラインを探り出す事も出来ます。しかし、それを行うには膨大なコストと時間を要してしまいます。そこで役に立つのがシミュレーションです。コンピュータ上に生産ラインを模倣するモデルを構築してしまえば、設計を自由に変えて何度でも、高速に、その結果を得る事が出来ます。生産ラインのシミュレーションは、離散イベントシミュレーションと呼ばれるカテゴリに属します。以下のような排他的な資源を使うための待ち行列をシミュレーションするモデルを基本とし、それらを組み合わせる事で、複雑な生産ラインのシミュレーションを行う事が出来ます。

生産ラインイメージ

生産ライン最適化

問題

ある生産ラインでは4つの工程を経て、製品が完成します。それぞれの工程は、前述のような待ち行列モデルになっています。それぞれの工程では、作業機械を使いますが、作業機械は同時にひとつの製品しか加工する事ができません。作業機械が複数あった場合、空いている機械を使用して加工しますが、全ての機械が使用中の場合は、待ち行列が発生します。また、機械を購入、設置、運用するには、コストを要します。工場のスペースは有限であり、スペースを使うにはコストを要します。それぞれの工程の待ち行列数には、予め用意されたスペース分しか、使うことができません。ひとつの工程が終了すると、次の工程に進みますが、次の工程の待ち行列数が一杯であった場合、空きが出来るまで、作業が完了できず、その間、機械を占有してしまいます。

S4 を用いた解決

S4 Simulation System で、このような生産ラインをモデリングすると以下のようなイメージになります。
(図をクリックすると拡大します)

s-cube イメージ

ひとつの工程だけに着目した場合、以下のような関係が成立します。

s-cube イメージ

目標は、利益の最大化です。作業機械を導入したり、在庫置き場の拡大を行うと、生産量が増大し、利益が増大しますが、一方で、それらのアクションにはコストを要します。また、生産ライン全体を見た場合、在庫置き場の不足や、作業機械不足を原因とする、生産ラインの渋滞が生産量の削減を発生させる事があります。このように、生産ライン設計における、仕様パラメータと、利益の関係は非常に複雑である事が分かると思います。

このような問題は、利益を目的関数とする最適化問題として定式化する事ができます。しかし、離散変数を多く含む問題となり、最適化問題としては、困難な問題となります。また、乱数を用いたシミュレーションであるため、正確な目的関数値を得る事ができず、複数回のシミュレーションを行い、その期待値を目的関数値とする必要があります。そのため、解析的な微分を用いるような最適化手法は使うことができません。S4 Simulation System では、このような問題を、GUI上に部品を配置するという操作のみで、最適な設計を導き出すことが出来ます。