多目的最適化

多目的最適化#

  • 読み: たもくてきさいてきか

  • 英名:

  • 別名: 多目的最適化問題

目的関数が複数存在する最適化問題を多目的最適化問題と呼ぶ. 多目的最適化を解く一つの方法は,各目的関数に適当な重みを設定し,単一の目的関数を有する最適化問題に変更する事である. しかしながら,複数の目的関数をそのまま考慮したいという要請も存在し, この場合にはそもそも最適解の定義から,新たな考え方の導入が必要になる.

通常の最適解の概念の多目的最適化への単純な拡張は,完全最適解と呼ばれる. これは,直感的にはどの目的関数に対しても最適という性質を持つ.数学的には,以下の多目的最適化問題

(88)#\[\begin{split}\begin{array}{ll} \min & \left( f_1(x),\ldots,f_n(x) \right) \\ \mathrm{s.t.} & x \in \Omega \end{array}\end{split}\]

において,\(x^*\) が完全最適解であるための必要十分条件は

(89)#\[\forall{x} \in \Omega, \ \forall{k} \in \{1,\ldots,n\}, \ f_k(x^*) \le f_k(x)\]

と記述される.

単目的の最適化問題の場合と異なり,完全最適解は常に存在するとは限らない. 各目的関数に対する個別の最適解集合に共通部分が存在する,という幸運なケースでは完全最適解が存在するが, 通常はある目的関数に対して最適な \(x\) は,他の目的関数に対しては最適ではない.

このような問題に対処するために,パレート最適という概念が考え出された. パレート最適の直感的な定義は,次のように表現できる「\(x^*\) がパレート最適解であるとは,\(f_k(x^*)\) を全ての点で下回るような \(x \in \Omega\) は存在しない事を言う」

多目的最適化の目標は,大雑把にはパレート最適な解(さらに強い条件を課す事もある)を求める事であるが, これには主として二通りの流儀がある.一つは選考最適化に基づくアプローチであり, もう一つはゴールプログラミングによるアプローチである.後者のアプローチとしては希求水準法などが知られている.

関連

参考文献

[1]

中山弘隆 and 谷野哲三. 多目的最適化の理論と応用. コロナ社, 1994.