ロング/ショートモデル

ロング/ショートモデル#

  • 読み: ろんぐ/しょーともでる

  • 英名:

ポートフォリオ最適化問題において空売りを認めたモデル. 一般にロング/ショートを考慮して定式化を行う場合,各投資対象 \(i \in A\) について投資比率 \(x_i\) を,ロング分の比率 \(x_i^{long}\) とショート分の比率 \(x_i^{short}\) に分けて考え,\(x_i^{long}\)\(x_i^{short}\) の相補性(各投資対象 \(i\) について,\(x_i^{long}\)\(x_i^{short}\) は同時に 0 より大きい値をとらない)を仮定した上で,以下のように表現する.

(111)#\[\begin{split}\begin{array}{l} x_i = x_i^{long} - x_i^{short} \\ x_i^{long} \ge 0 \\ x_i^{short} \ge 0 \end{array}\end{split}\]

しかし,ロング分の総量,ショート分の総量についての制約

(112)#\[\begin{split}\begin{array}{l} \sum_{i \in A}{x_i^{long}} = 1 \\ \sum_{i \in A}{x_i^{short}} = 1 \end{array}\end{split}\]

が存在するため相補性が破られる可能性がある.そこで,各投資対象 \(i\) について 0-1 整数変数 \(\delta_i\) を導入して制約

(113)#\[\begin{split}\begin{array}{l} x_i^{long} \le u_i^{long} \delta_i \\ x_i^{short} \le u_i^{short} (1 - \delta_i) \end{array}\end{split}\]

を課し,相補性を保証するのが一般的である.ここで,\(u_i^{long}\)\(u_i^{short}\) は,それぞれ投資対象 \(i\) に対するロング分の上限値とショート分の上限値である.0-1 整数変数を導入したことにより混合整数計画問題を解くことになり,実務的な規模の問題に対しては実用的な時間で求解できないことも多い.そのため,何らかのヒューリスティックを使って,各銘柄のロングポジション,ショートポジションを決定してから解くこともある.

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