S+Wavelets
S+WAVELETS Version 2がリリースされました。
近年注目を浴びている「ウェーブレット解析」は、信号処理や画像処理、データ圧縮などの工学的分野から、経済データの時系列解析などの広い分野で用いられる最新の解析手法です。S+WAVELETSにより従来フーリエ解析で行ってきた解析よりも優れた解析が可能になります。また、フーリエ解析では困難だった非定常な系列に対しても解析が可能になりました。
ウェーブレット解析について
「ウェーブレット」とは、小さい波を意味し、ある信号を近似するのに利用します。マザーウェーブレット(基本ウェーブレット)から、1つの関数によるスケール変換およびシフトにより一群のウェーブレットの集合を作成し、その各要素の合成により元の信号を再現します。
フーリエ変換は、決まった時間枠(ウインドウ)の中は定常的に変化すると仮定しますが、ウェーブレット変換は定常性を前提に置いていないため、非定常の時系列でも時間を追っての変化が捉えられます。このため、実用的な手法として、すでに産業の多方面で利用されています。
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時間軸をシフト | マザーウェーブレット(基本ウェーブレット) | スケール変換 |
S+WAVELETSの特長
- 各種のウェーブレット解析とグラフィックスのための500以上のS-PLUS関数からなります。
- 解析結果に対してS-PLUSの豊富な機能をそのまま適用できます。
- オブジェクト指向の設計により、複雑なデータ構造を意識しないで利用できます。
S+WAVELETS Features
- 離散ウェーブレット変換
- ウェーブレット基底の幅広い選択
- 多重解像度解析(分解)
- 時間-周波数解析
- シグナルからのノイズの除去
- 頑健ウェーブレット解析
- 局所コサイン解析
- 最良基底選択
- Non-decimated ウェーブレット解析
- Matching Pursuit分解
- 1D、2Dのさまざまなデータをサポート
事例
明治大学法学部 阪井 和男 先生
(1997年度 明治大学社会科学研究所 共同研究)
S+WAVELETSの解析例
DonohoとJohnstoneによる信号抽出と時系列スムージングのための「WaveShrink」手法の例です。左上がDoppler signal、右上がその離散ウェーブレット変換(DWT)です。左中がノイズを加えたDoppler signalであり、右中はそのDWTです。右下はそれにWaveShrinkを適用させてノイズを除去したsignalであり、左下はそのDWTです。WaveShrinkはゼロ方向にwavelet係数を縮小することによりノイズを除去します。
左上が原信号である2次のchirp signalです。右上がウェーブレットパケットsignalの各コンポーネントです。左下は最良基底選択木、右上は時間-周波数のプロットです。時間とともに周波数が増大していることがわかります。