事例紹介 教育
Visual Mining Studio を経済学部の授業に取り入れていただいている、大阪府立大学様をお訪ねし、授業の成果発表の場である 「平成22年度大阪府立大学生協データコンペティション」発表会(平成22年9月30日)を取材しました。
大阪府立大学経済学部様の試み
大阪府立大学様では、「文部科学省 質の高い大学推進プログラム」の一環として「販売現場に密着した問題発掘型スタディーズ」という学習プログラムを実行されています。このプログラムの中では、実際に大阪府立大学生活協同組合の店舗販売データ(POSデータ)を用いて、学生の皆さんがデータ分析を行い、流通アドバイザーやコンサルタントになったつもりで、より多くの販売を上げるための提案を行います。そして、授業の最後には、その分析、提案内容、プレゼンテーションに対して評価を行い、優秀な発表には賞が授与されます。
売り場の観察も含めたデータ分析をする能力、チームで力を合わせ、スケジュールをたて、コミュニケーションをとりながら一つの業務を遂行する能力、聞き手を納得させる能力を養うための絶好のプログラムだと感じました。

データ解析コンペティションのための環境
大阪府立大学様では、経済学部の学生が自由に使うことのできる最新のPCを完備した教室を用意されており、そのPCにはデータマイニングソフトウェア Visual Mining Studio がインストールされています。学生はゼミが終わった後などに、PCを使って自らたてた仮説を実際に分析して検証することができます。身近な販売データが用意されていることとあわせて、申し分のないデータ分析環境だと感じました。
データ解析コンペティションの審査
2年生の基礎ゼミ、3年生以上の専門ゼミそれぞれで、数人でチームを作り、分析を行います。まず、各指導教官のゼミで予選会が行われ、予選会を突破したチームが最終選考会に臨みます。今年度はそれぞれ4チーム、合計8チームが残りました。最終選考会には、大阪府立大学生活協同組合の売り場ご担当者の方を含めた、外部の審査員も出席され、それぞれのチームに評価点をつけます。評価の視点は
- 分析に論理性があったか
- 独創性があったか
- 提案は現実的であったか
といった観点から行われます。審査員は様々な立場から評価を行い、学生は見落としがちなコストや利益、マーケティング施策、プレゼンテーションや表現の工夫など、実務に基づいた貴重なアドバイスを受けることができます。8チームの中から、評価が高かった3チームに、最優秀賞、優秀賞、努力賞が授与されます。最優秀賞と優秀賞を授与された2チームには、大阪府立大学生活協同組合のお菓子売り場を、商品発注からレイアウトまで、1週間運営するという実務的なチャレンジもあるそうです。
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データ解析コンペティションのテーマ
今年度は「お菓子の販売分析」をテーマに、お菓子をもっと売るための販売戦略−仕入れる商品、キャンペーン、価格戦略、棚割も含めたレイアウト等−を分析されました。

データ解析コンペティションに参加してみて
どの発表も学部学生の方の発表とは思えないほど、よく考えられた発表で、甲乙つけがたいと感じました。
中でも非常に感心したのは、安易に値下げに頼らず、売り上げを伸ばすための工夫をされていたことでした。ユニークなアイデアはそのまま通用するのではないかと感じたほどでした。いくつか、皆さんのアイデアを紹介しますと、
- お菓子を形状や音、味、においで特徴付け、売り上げが伸びているお菓子にはどのような特徴があるのかをデータマイニング手法で分析
- データマイニングの1つであるアソシエーションを使って、併売分析を行い、その結果を応用した棚割を考える
- 時間帯や季節による販売量に着目し、棚割や販売方法を時間帯、季節毎に変える
- お菓子と他の商品との併売に着眼し、両方買ったら割引をする、割引についてはシミュレーションを行って割り引いても損失が出ないか検証する
といったことがありました。審査員の方も、それぞれの立場から良い点、改善した方がよい点を評価、アドバイスし、本当にあっという間の中身が濃い2時間でした。このような恵まれた環境で学生のうちに大量データの分析が体験できる経済学部の学生がうらやましく感じられると同時に、すばらしい環境を用意され、温かく、時には厳しく指導されている経済学部の先生方のご尽力には頭が下がる思いでした。
最後に、今回快く取材をさせていただきました大阪府立大学経済学部の森田先生、中山先生をはじめとする皆様、そして素晴らしい発表を聞かせてくださった学生のみなさん、どうもありがとうございました。
大阪府立大学経済学部 販売現場に密着した問題発掘型スタディーズ