バックナンバー ( 2011 Vol.1 ) 2011 年 1 月 27 日 発行
-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-= 数理システム NUOPT メールマガジン http://www.msi.co.jp/nuopt/ 2011 Vol.1 ( 2011 年 1 月 27 日 発行 ) -=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-= 数理システム NUOPT メールマガジンでは,数理計画法パッケージ NUOPT に関する様々な情報やご案内を提供していきます. ++++ [目次] ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ ■ <トピック> NUOPT の近未来像 ■ <トピック> 最新パッチリリースのお知らせ ■ <トピック> NUOPT FAQ 更新 ■ <トピック> 発表・出展の報告 ■ <トピック> 数理計画問題の豆知識(第 4 回) ■ <セミナー> NUOPT セミナーのご案内 ■ <お知らせ> 本メールマガジンが隔月発行になります ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ ****************************************************************** ■ <トピック> NUOPT の近未来像 ****************************************************************** NUOPT も進化を遂げて,今は V13 となっています.現在では多彩な機能を 持つ数理計画パッケージとなっていますが,ここでは NUOPT の将来像・ ロードマップについて,考えているところを記させて頂きます. 弊社では数理計画を始め,データマイニング,テキストマイニング,シミュ レーションなどのいわゆる「数理科学による意思決定支援」のためのツー ルを開発・販売しています.これらは独立した製品ですが,現在これらの ツールがシームレスに連携して動く共通プラットフォーム VAP(Visual Analytics Platform)を構築しています. これは,「数理科学による意思決定」が個別のツールを用いた断片的な結 果に終わるべきではなく,最終的には様々な技術を駆使した行き届いたも のになるべきとの信念から,数多くの技法をスムーズに連携させて動かせ るプラットフォームを実現しようということです. 既に,Visual Mining Studio と S-cube が VAP 上で動いていますが, NUOPT も 2011 年のなるべく早い時期に VAP 上での動作を実現させようと 目論んでいます. VAP の持つもう一つの大きな特徴は WEB 展開の可能性です.VAP 上で動く ツールを使って実現したソリューションは容易にブラウザー経由で動くア プリケーションとなります.ブラウザーのボタンをクリックするだけで, ユーザーはイントラネットあるいはインターネット経由で価値ある結果を 手に入れる事が可能になります. NUOPT のユーザーの皆様も,自分の作り上げたモデルによる最適化ソリュー ションを社内・学内での幅広い利用に供したい,あるいは更に広く世界中 で使ってもらいたいという場合に,そのような事が簡単に実現出来ます. この機能を利用したアプリケーションとして,1 月末に CRM Insight と いう CRM ツールがリリースされます.このツールの背後では VAP 上の Visual Mining Studio が動いていますが,近い将来に NUOPT を使ったソ リューションも CRM Insight に組み込まれる事と思います.また,CRM 以外のアプリケーションも今後リリースしたいと考えています.ユーザー の皆様の独自のビジネスにも VAP をご利用頂きたいと思っています. VAP の実現には Python を使っていますが,今後は数理計画のモデリング にも Python を使って行きたいと考えています.そのために,モデリング 言語 SIMPLE の Python 版を早急に実現したいと思います. これらの機能と数理計画プロパーの最適化機能の一層のパワーアップによっ て,NUOPT=数理計画を社会のあらゆる分野での問題解決に役立てるという 目的に更に近づきたいと考えています.今後とも,NUOPT を始めとする数 理システムの製品のご愛顧をお願いします. (山下 浩) ****************************************************************** ■ <トピック> 最新パッチリリースのお知らせ ****************************************************************** 昨年 12 月に NUOPT V13 がリリースされましたが,最新の NUOPT をご利 用いただいておりますでしょうか.今回はリリース後に発見された不具合 の修正およびオプションの追加に関するパッチをご案内いたします. 主な修正・追加点は,次の 4 点です. 1. GUI 上で Matrix/Vector を利用した問題を解いた際の不具合 GUI 上で Matrix/Vector を利用した問題を解くと,NUOPT が異常終了する ケースがありました.この不具合を修正しました. 2. 分枝限定法の不具合 分枝限定法において,稀に正常に解けているにも関わらず, integrality violated となってしまう不具合を修正しました. 3. 評価値の出力に関する不具合 複雑な Expression について,正しい評価値を出力しない場合がある不具 合を修正しました. 4. 分枝限定法の前処理の制御パラメータ追加 V13 より分枝限定法の厳密解法における前処理が増強されましたが,問題 によっては速度の低下を招くことがあります. そのような場合に,前処理を V12 以前の状態に戻すオプションを追加しま した. 詳細およびダウンロードのページへは,次の URL からご覧ください. http://www.msi.co.jp/nuopt/user/patch/v13patch.html (新田 利博) ****************************************************************** ■ <トピック> NUOPT FAQ 更新 ****************************************************************** 大好評の NUOPT FAQ,この度大幅に内容を拡充いたしました! http://www.msi.co.jp/nuopt/user/faq/index.html 「モデルとデータとは?」 「どの程度の大規模問題が解けますか?」 「モデルは自分で書くのですか?」 等々,お客様から寄せられる一般的な質問を多数追加しています. ご意見,ご要望等ございましたら,お気軽に NUOPT 担当 nuopt-info@ml.msi.co.jp までご連絡ください. NUOPT でお困りの方も,そうでない方もご一読いただければ幸いです. (村山 昇) ****************************************************************** ■ <トピック> 発表・出展の報告 ****************************************************************** 12 月 21 日(火)にリッキーマーケットソリューション株式会社主催の リスクコンファレンス 2010 -グローバルな枠組みの下での日本金融の GRC と成長戦略- にて,NUOPT と S-PLUS の出展を行いました. ポートフォリオ最適化は金融分野に携わる実務家の方々に多く関心がある ソリューションであることを再認識致しました.お立ち寄り頂いた方々, ありがとうございました. 12 月 10 日(金)に日本オペレーションズ・リサーチ学会防衛と安全研究 部会にて次の発表を行いました. -- エネルギー有効活用への数理計画法による取り組み 数理システム 田辺隆人 冷暖房・電力供給設備の運転や設備計画など,生産活動にかかせないエネ ルギー生産をより効率化するために,数理計画が利用されている事例を, モデル化やアルゴリズムの適用テクニックなどを交えながら具体的に紹介 致しました. 当日は沢山の方にご聴講頂きまして誠にありがとうございました. (佐藤 誠) ****************************************************************** ■ <トピック> 数理計画問題の豆知識(第 4 回) ****************************************************************** このコーナーでは,数理計画の定式化やちょっとした豆知識について, ご紹介していきます. 今回は,カッティングストック問題についてご紹介します. カッティングストック問題は,別名,資材切り出し問題とも呼ばれます. 一口に言うと,限られた資源の中から最大限効率的に必要量の生産物を 取り出そうという問題です. 例えば,製紙工場では決まった長さの母紙(複数枚ある)から定められた 大きさの紙(製品)を必要枚数切り出さねばならない状況があるでしょう. 現実としては,全ての製品を切り出すのに必要な母紙の枚数をなるべく 少なくしたいというの要請もあるでしょう. 説明の都合上,この製紙工場の例を基にお話しさせていただこうかと思い ます.ただし,簡単のため,母紙の幅と製品の幅は同じとし,母紙に対し て縦方向から刃を入れることで次々に製品を切り出していくものと仮定し ます. cut cut cut v v v ---------------------------------------------- 母紙1 l製品1 l製品2 l製品3 l ......... l ---------------------------------------------- cut cut v v ---------------------------------------------- 母紙2 l製品al製品b l ......... l ---------------------------------------------- ................. このようなとき,刃を入れる方向は1方向となるので,とくに 1 次元カッ ティングストック問題といいます. ひとつの母紙からの各製品の切り出し方ひとつひとつのことを,「切り出 しパターン」と呼ぶことにしますと,1 次元カッティングストック問題の 典型的な定式化は以下のような感じになります. ------------------------------------------------------------------ i < I : 切り出しパターン集合 j < J : 製品集合 a[i,j] : 切り出しパターン i は製品 j をいくつ切り出すか x[i] : 切り出しパターン i を何回使用するか L : 母紙の大きさ l[j] : 製品 j の長さ d[j] : 製品 j の需要 ------------------------------------------------------------------ minimize: sum(x[i],i) --- (#0) subject to: sum(a[i,j] * l[j], j) <= L --- (#1) sum(a[i,j] * x[i], i) >= d[j] --- (#2) ------------------------------------------------------------------ 目的関数 (#0) は総パターン使用回数,すなわち,必要母紙枚数です. 制約式 (#1) は切り出しパターンが切り出す製品の総長は母紙の大きさを 超えないことを表します.制約式 (#2) は製品を需要量以上切り出すことを 表しています. さて,上記の定式化ですが,パターンが未知の状態ではパターンとそれを 何回使うかを同時に決める必要があります.その場合,a[i,j], x[i] は 共に未知変数となりますので,制約式 (#2) には変数の積が含まれます. こうなりますと,非線形整数最適化問題と呼ばれる,解くのが非常に難し い問題となってしまいますので,何らかの工夫が必要です. ひとつの方法としては,切り出しパターンを予め全列挙してしまう方法が あります.しかし,母紙と製品の長さの兼ね合いで,切り出しパターン数 が計算機の手に負えない規模になることがありますので,実用には向いて いません(もちろん小規模なら有効です). 列生成法や Lagrange 緩和法という手法を使えば,効率的に解けることが 知られています.初めに切り出しパターンを全列挙するのではなく,その 時その時に手持ちの切り出しパターンをながめて,更新しそうな新規パタ ーンを,ある数学的な指標を基準に生成し続けていく手法です. ところで,製紙業・繊維業・鋼鉄業などの素材産業においては,切り出し パターンを換えるたびに刃の位置を変えなくてはならず,実はこれが非常 に高コストとなってしまうことがあります.そうなると,母紙等の枚数は 少なくしたいけれども,切り出しパターンもなるべく少ない種類に抑えた いということになります.このような,なるべく切り出しパターンも少な くするようなうまい切り出しパターンを見つける問題,段取り換え付き カッティングストック問題については,弊社ホームページ http://www.msi.co.jp/nuopt/solution/shift/cutting.html に簡単なご紹介がございますので,ご興味があれば,是非ご覧ください. (白川 達也) ****************************************************************** ■ <セミナー> NUOPT セミナーのご案内 ****************************************************************** ---- [ NUOPT セミナー開催日程 ] ---------------------------------- ・ 2 月 3 日 (木) 13:30 〜 17:00 スキルアップセミナー・基礎編 ・ 2 月 15 日 (火) 13:30 〜 17:00 スキルアップセミナー・実践編 ・ 3 月 9 日 (水) 13:30 〜 16:30 最適化入門セミナー ・ 3 月 17 日 (木) 13:30 〜 17:30 金融工学セミナー ※ 次回の生産スケジューリングセミナーは 4 月を予定しております 会場: (株)数理システム・セミナールーム (東京都新宿区新宿二丁目 3 番 10 号新宿御苑ビル 4 階) お申し込み先: (株)数理システム << NUOPT >> 担当 < nuopt-info@ml.msi.co.jp > セミナーの詳細: 下記 URL をご参照ください. http://www.msi.co.jp/nuopt/seminar/index.html ------------------------------------------------------------------ 各セミナーともに,好評をいただいております.奮ってご参加ください ませ. なお,金融工学セミナーは 3 月実施分より時間が変更となっております. 1 月 20 日に実施いたしました生産スケジューリングセミナーでは,数多 くの皆様にご参加いただきまして,まことにありがとうございました. 当日は,数理計画・シミュレーション,両方の視点から実務における生産 スケジューリング問題を解決するアプローチをご提示させていただきまし た. 特に,NUOPT で導き出した複数のスケジュール結果に対して,作業時間の ぶれを考慮したシミュレーションを S3(エスキューブ)を用いて行い, それぞれのスケジュール結果がどれほど頑健であるかを評価したデモンス トレーションは,大変ご好評いただきました. 生産スケジューリングセミナーは次回,4 月に開催予定でございますので, ご興味のある方は是非ご参加くださいませ. (多田 明功) ****************************************************************** ■ <お知らせ> 本メールマガジンが隔月発行になります ****************************************************************** 数理システム NUOPT メールマガジンをご覧頂き誠にありがとうございます. 本メールマガジンは 2007 年 5 月の発行開始以降 NUOPT に関する様々な 情報を提供しておりますが,この度読者様の声を踏まえまして発行間隔を 変更することに致しました. 前号までは 3 ヶ月毎に発行しておりましたが,今号より隔月(奇数月)発 行となります. 今まで以上にタイムリーな情報を提供してまいりますのでご期待ください. (島田 直樹) ================================================================== ※ このメールは,展示会・セミナー等で名刺交換をされた方,過去に NUOPT に関するお問い合わせを頂いたことのある方,および本メール マガジンの配信を希望された方にお送りしています. ※ バックナンバーはこちらから御覧頂けます. http://www.msi.co.jp/nuopt/mailmagazine/index.html ※ 本メールマガジンは等幅フォントでお読みになることを推奨します. ※ 今後このメールマガジンが不要な方は,誠にお手数ですが,「メール マガジン配信停止」という件名のメールを nuopt-ms@ml.msi.co.jp にお送りください. 発行:株式会社 数理システム << NUOPT >> 担当 東京都新宿区新宿二丁目 4 番 3 号 フォーシーズンビル 10 階 e-mail : nuopt-magazine@ml.msi.co.jp ================================================================== |