バックナンバー ( 2011 Vol.4 ) 2011 年 7 月 21 日 発行
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数理システム NUOPT メールマガジン http://www.msi.co.jp/nuopt/
2011 Vol.4 ( 2011 年 7 月 21 日 発行 )
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数理システム NUOPT メールマガジンでは,数理計画法パッケージ NUOPT
に関する様々な情報やご案内を提供していきます.
++++ [目次] ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++
■ <トピック> NUOPT 金融工学セミナー
■ <トピック> 発表・出展の報告
■ <トピック> NUOPT FAQ 更新
■ <トピック> 数理計画問題の豆知識(第 6 回)
■ <セミナー> NUOPT セミナーのご案内
■ < tips > SIMPLE 記述のテクニック(第 2 回)
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■ <トピック> NUOPT 金融工学セミナー
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去る 6 月 14 日,7 月 1 日,7 月 19 日に NUOPT 金融工学セミナーを
開催しました.元々 6 月 14 日のみを予定しておりましたが,申込多数
のため,急遽 7 月 1 日,7 月 19 日にも開催する運びとなりました.
数多くの皆様にご参加いただき,誠にありがとうございました.
本セミナーでは,金融分野において NUOPT が貢献できる数多くの事例を
紹介するだけにとどまらず,定式化のテクニック,さらにはこの分野で
よく用いられる二次計画法のアルゴリズムの話まで,他ではなかなか聞く
ことが出来ないトピックをお届けしています.
また,最新の成果を取り入れつつ,徐々に内容を充実させており,FIOPT
の新バージョンリリースに伴い,本セミナーでも FIOPT によるデモプロ
グラムを取り入れています.
次回 8 月 25 日はご好評につき満席となっておりますが,9 月 22 日に
も開催予定です.ご興味がある方は是非ご参加ください.
詳細については下記の HP をご覧ください.
http://www.msi.co.jp/nuopt/seminar/finance.html
(村山 昇)
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■ <トピック> 発表・出展の報告
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7 月 13 日・14 日に開催された Global Market Solutions 2011 金融市場
国際フォーラムにて出展致しました.
NUOPT や統計解析ソフト S-PLUS および S+NUOPT に加えてリニューアルリ
リースした FIOPT のデモ御紹介を致しました.特に実務家の方々は統計解
析から最適化までオールインワンで行うことが出来る FIOPT に興味関心を
頂きました.お立ち寄り頂いた方々,誠にありがとうございました.FIOPT
はこちらの WEB ページで御紹介しています.
http://www.msi.co.jp/fiopt/index.html
(佐藤 誠)
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■ <トピック> NUOPT FAQ 更新
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大好評の NUOPT FAQ,内容を拡充しました!
http://www.msi.co.jp/nuopt/user/faq/index.html
「モジュール別に対応可能な問題の種類と規模を教えてください.」
「変数を定数として扱いたい.」
等々,お客様から寄せられる一般的な質問を多数追加しています.
ご意見,ご要望等ございましたら,お気軽に NUOPT 担当
nuopt-info@ml.msi.co.jp
までご連絡ください.
NUOPT でお困りの方も,そうでない方もご一読いただければ幸いです.
(村山 昇)
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■ <トピック> 数理計画問題の豆知識(第 6 回)
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このコーナーでは数理計画に関連する豆知識をご紹介していきます.
第 6 回目となる今回は,「スマートグリッド」をテーマにお話しさせて
いただきます.
東日本大震災以降,電力不足が深刻化しました.それに伴い,スマートグ
リッドという言葉も巷でよく聞かれるようになりました.
次世代送電網とも言われるスマートグリッドは一般に,情報通信技術を用
いて発電から送電,電力需要にいたる一連の電気の流れを制御する送電網
のことを指します.ただ,一概にスマートグリッドといいましても,電力
事情の違いから,スマートグリッドの取り組みは国・地域ごとに異なるの
が実状のようです.
それでは,我が国におけるスマートグリッドの取り組みとはどのようなも
のでしょうか.
現在の我が国の取り組みとしては,発電を複数に分散し,対象地域の複数
の需要家の電力需要を満たすような,分散型エネルギーシステムが主流の
ようで,これをマイクログリッドと呼んだりします.実際に分散型発電で
は,排熱を使用して効率よく運転を行うコージェネレーションシステムや,
太陽光発電,蓄電池などを組み合わせて効率のよい発電を行っております.
ではここからは,スマートグリッドと数理計画の結びつきに関してご紹介
させていただきます.
上記のような分散型電源を導入する際に,数理計画問題として扱う問題と
いたしまして,
[1] 日々の需要家の電力需要を充足するような機器の運転計画問題
[2] 通年の需要家の電力需要を充足するような機器の設備計画問題
の 2 種類がございます.
[1] は,例えば 1 時間単位の電力需要データが需要予測等により与えられ
ているものとします.
そのとき,毎時間,各発電設備(機器)に対して,
- 使用するか否か
- どの程度の発電を行うか
を決定する問題が [1] となります.この際の目的関数は
- 総コスト最小化
- CO2 排出量最小化
などが候補として挙げられます.なお主な制約条件としては,
- 毎時間の発電量が電力需要と等価(もしくは以上)
- 機器の入出力エネルギー間の関係式
- 機器の連続運転/停止条件
- 機器の出力上下限制約
が存在します.
この問題の多くは混合整数線形計画問題となりまして,実際に NUOPT を
用いた導入事例が数多く存在します.
「エネルギーソリューション」
http://www.msi.co.jp/nuopt/solution/energy/index.html
にも導入事例が載っておりますので,是非ともご覧ください.
次に [2] は,夏の平日,冬の休日などといった,通年の電力需要を賄うよ
うな機器の運転を考えた際に,どのような設備(機器)を導入するのがよ
いかを考える問題です.
先程の [1] を通年レベルで考えるのですが,さらに,
- 各設備(機器)を導入するか否か
- 各設備(機器)をどれほどの定格(容量)とするか
が決定対象となります.
この問題は一般的に,先程の [1] の問題と比べて非常に大規模な混合整数
線形計画問題となり,求解するのがなかなか困難な部類の問題となります.
ですがこの問題に対し,ラグランジュ緩和法と呼ばれる手法を用いて,効
率よく問題を分割して解くことが可能でございます.
[2] の問題に対するラグランジュ緩和法の適用に関しましては,
「設備計画問題とラグランジュ緩和法」
http://www.msi.co.jp/nuopt/download/introduction/index.html
に具体的な資料がございます.
ご興味がございましたら,ご覧いただければと存じます.
以上,今回の数理計画の豆知識とさせていただきます.
なお,スマートグリッドにまつわる
- 電力の需要予測の方法
- 運転計画問題の求解方法
- 設備計画問題の求解方法
をご紹介させていただくセミナー(仮称:スマートグリッドセミナー)を
9 月に開催する予定でございます.
具体的な日程が決まり次第,またお知らせいたしますので,ご興味のある
方は奮ってご参加ください.
(多田 明功)
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■ <セミナー> NUOPT セミナーのご案内
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---- [ NUOPT セミナー開催日程 ] ----------------------------------
・ 8 月 25 日 (木) 13:30 ~ 17:30 金融工学セミナー
<< 満席のため受付終了 >>
・ 8 月 30 日(火)13:30 ~ 16:30 生産スケジューリング・
自動作成支援セミナー
・ 9 月 8 日 (木) 13:30 ~ 17:00 スキルアップセミナー・基礎編
・ 9 月 22 日 (木) 13:30 ~ 17:30 金融工学セミナー
会場:
(株)数理システム・セミナールーム
(東京都新宿区新宿二丁目 3 番 10 号新宿御苑ビル 4 階)
お申し込み先:
(株)数理システム << NUOPT >> 担当 < nuopt-info@ml.msi.co.jp >
セミナーの詳細:
下記 URL をご参照ください.
http://www.msi.co.jp/nuopt/seminar/index.html
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数理システムでは,皆様のニーズにあわせて各種セミナーを開催しており
ます.
最適化関係のセミナーは以下のラインナップになっています.
< 最適化入門セミナー >
< NUOPT スキルアップセミナー・基礎編 >
< NUOPT スキルアップセミナー・実践編 >
< NUOPT 金融工学セミナー >
< 生産スケジューリング・自動作成支援セミナー >
最適化って何?どういう分野で利用できるの?という方は「最適化入門
セミナー」がお勧めです.
また,最適化したい課題があるのだけれども,最適化・数理計画がどのよ
うに問題を解決するものなのかイメージを掴みたい,という方は「NUOPT
スキルアップセミナー・基礎編」がお勧めです.こちらのセミナーでは
NUOPT の使い方だけでなく,現実の問題を数理計画問題として取り扱う方
法(モデル化)の部分も丁寧に解説致します.
各セミナーの詳細は以下の WEB ページで御紹介しています.
http://www.msi.co.jp/nuopt/seminar/index.html
また,具体的に課題を抱えていて,それが解けるのかどうかズバリ知りた
いという方向けに,無料個別相談会も開催しています.
http://www.msi.co.jp/nuopt/seminar/consultation.html
皆様の御参加お待ちしています.
(佐藤 誠)
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■ < tips > SIMPLE 記述のテクニック(第 2 回)
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このコーナーでは,SIMPLE のモデルファイルの記述に際して,知っておく
と得をするテクニックや,マニュアルでは紹介していない便利な機能など
について,日々 SIMPLE を使用し開発している立場から紹介させて頂けれ
ばと思います.
今回は,SIMPLE というより,数理計画の定式化テクニックと言うべきかも
しれませんが,お客様からのお問い合わせがしばしばございますので,条
件によって式を切り換えなければならない場合の記述方法についてご紹介
いたします.
例えば,こんな状況を考えてみましょう.
------------------------------------------------------------------
ある製品を x 単位生産するものとする.生産に要する費用は 1 単位あた
り C1 である.これに加え,もし,その製品が少しでも生産されるならば,
立ち上げの為の初期費用 C2 も発生する.
------------------------------------------------------------------
このとき総費用を式で表せば,
------------------------------------------------------------------
[総費用の値]
- x = 0 のとき,総費用 = 0
- x > 0 のとき,総費用 = C1 * x + C2
------------------------------------------------------------------
となります.このように,x の値によって式が切り替わるような場合,
SIMPLE ではどのように表現すればよいでしょうか.
もしかしたら,SIMPLE が提供している関数 ifelse を使用することを思い
つかれたかもしれません.詳しくはマニュアルをご覧いただきたいのです
が,実はこの関数は,(小難しい言い方で恐縮ですが)表現される関数が
領域全体で連続かつ微分可能であることを要求します.今回のケースでは,
x = 0 において,微分可能ではありませんので,ifelse 関数は残念ながら
使えないのです.
ではどうすればよいかと言うと,上記の総費用を表現するためのうまい定
式化技法が知られています.M を十分に大きな定数として,製品を生産す
るか否かを表す 0-1 整数変数 y(インディケータ変数と呼ばれています)
を新たに導入します.このとき,
------------------------------------------------------------------
Variable x;
IntegerVariable y(type=binary); // 0:生産しない 1:生産する
Expression Cost;
Cost = C1 * x + C2 * y;
0 <= x <= M * y; // --- (1)
------------------------------------------------------------------
という SIMPLE による表現をします.
この表現のミソは,制約式 (1) です.y は 0-1 整数変数なので,y が 0
の場合と 1 の場合に分けて考えてみます.
1. y = 0 の場合
----------------
(1) 式は 0 <= x <= 0 となります.よって,
Cost = C1 * 0 + C2 * 0 = 0
です.
2. y = 1 の場合
----------------
(1) 式は 0 <= x <= M となります.M は十分大きいとしているので,実
質的には 0 <= x と同等です.したがって,余計な制約はかかっていま
せん.このとき
Cost = C1 * x + C2 * 1 = C1 * x + C2
です.
結局,式 (1) が効いて,Cost が元々表現したかった総費用を正しく表現
していることになります.
※ 実は上記だけでは,x = 0 かつ y = 1,すなわち,工場は建てるが生産
しないケースが許容されてしまいます.しかし,例えば単純なコスト最
小化の場合などでは,x = 0 かつ y = 1 は最適ではないので,自動的
に省かれます.
今回の定式化やその他定式化の技法についてご興味を持たれた方は,是非
弊社の下記ホームページにございます,「特殊なケースでの定式化技法」
の資料を合わせてご覧ください.
http://www.msi.co.jp/nuopt/download/introduction/index.html
いかがだったでしょうか.次回も皆さまにとって有用な情報をお届けで
きればと思っておりますので,どうぞよろしくお願いします.
(白川 達也)
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NUOPT に関するお問い合わせを頂いたことのある方,および本メール
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