2019年07月12日
ニュースリリース
株式会社NTTデータ
株式会社NTTデータ数理システム
株式会社NTTデータ(以下:NTTデータ)と株式会社NTTデータ数理システム(以下:NTTデータ数理システム)は、信用金庫の業務ノウハウをもとに構築したAI分析モデルを使用し、信用金庫向け顧客資金ニーズ予測サービスの実証実験を完了しました。本実験により、AI予測モデルの有効性が確認できたため、今後商用化に向けた検討を開始します。
本サービスは、信用金庫が渉外活動時に必要となる訪問リスト注1の作成を支援するサービスです。信用金庫が持つ各種データをAIが学習することで、資金ニーズが見込まれる取引先をAIが予測しリスト化します。本サービスを利用することにより、渉外員は効率的な顧客訪問が可能になり、またリストを使った能動的な提案活動により収益向上へ寄与します。昨年度の大阪シティ信用金庫との実証実験で、特に潜在顧客に対する見込み予測精度が従来の営業実績と比較して約3倍向上することを確認しています。
サービスメニューとして、法人の資金ニーズ予測から提供を開始し、今後は個人向けのローン商品等のニーズ予測を順次追加提供していく予定です。
背景・概要
信用金庫を含め、金融機関では資金利益注2の底上げを図るとともに、非資金利益の新たな獲得方法を模索している状況です。また、信用金庫の強みの1つである地域に根ざした「Face To Face」の渉外業務の強化が求められています。しかし、渉外業務の中で作成する訪問リストは、渉外員のスキルに依存して作成していることが多く、一律にアプローチできていない、ニーズを汲み取ったタイムリーな提案ができていないことが課題となっていました。
本サービスを活用することで、資金ニーズが見込まれる取引先を判別できるようになることから、より効果的、効率的な渉外活動が可能になります。実証実験にてAI予測モデルの有効性が確認できたことから、今後本サービスの商用化の検討を開始します。
図:サービス利用イメージ
- ※FISC安全対策基準とは、公益財団法人 金融情報システムセンター(https://www.fisc.or.jp/)で発刊している「金融機関等コンピュータシステムに関する安全対策基準・解説書」の略称であり、金融機関が求める各種安全基準を満たしているもの。
特長
本サービスの特長は、信用金庫が持つ各種データを、クラウドセンターにアップロードするだけで、最適なAI分析結果を得ることができます。信用金庫の取引先の資金ニーズ予測において、最適な予測結果を得るために必要なデータ・アルゴリズム・分析手法をパッケージ化しており、信用金庫ごとのデータ選定や個別の特徴量エンジニアリング等は不要です。
また、信用金庫にとっては取引先の資金ニーズ予測により、以下の効果が期待できます。
- 潜在顧客獲得による、収益効果(収益向上)
- 訪問先の絞り込みが容易になることによる、訪問リスト作成の効率化へ寄与(コスト削減)
- AIが予測した資金ニーズの傾向を可視化することによる、訪問先判断のノウハウ継承(見える化)
- 顧客の資金ニーズ予測に基づく営業活動を実践することによる、取引先との親密度の向上(満足度向上)
実証実験、業務検証についての概要
期間 | 2018年6月~2019年4月 |
場所 | 大阪シティ信用金庫 |
実験概要 | AIによる資金ニーズの予測と、実際の融資実績を比較して、AIモデルの精度評価を行いました。顧客資金ニーズ予測リストを渉外活動に適用した場合の収益効果や業務効率化の試算、その他効果の確認を行いました。 |
各社の役割 | NTTデータ:実証実験サービスのモデル構築、アプリケーション、基盤構築 NTTデータ数理システム:AI分析ノウハウの提供 |
結果 | 潜在顧客に対する資金ニーズ予測の精度が従来の営業実績と比較して約3倍向上することを確認しています。 |
今後について
NTTデータでは、今後のステップとして、渉外業務の「訪問計画策定」「対面折衝」「折衝記録作成」「案件管理」等の、信用金庫の渉外業務を全方位に支援するAIサービスの提供にも取り組んでいきます。
注釈
- 注1訪問リストとは、渉外業務の中で、渉外員が1日の訪問計画を立てる際に作成するもの。
- 注2銀行業における収益の1つで、貸付等による資金の提供に伴う収益から預金等による資金の調達費用を差し引いたもの。
本件に関するお問い合わせ先
報道関係のお問い合わせ先
株式会社NTTデータ
広報部
宮尾
TEL:03-5546-8051
製品・サービスに関するお問い合わせ先
株式会社NTTデータ
第三金融事業本部
戦略ビジネス本部
ビジネス企画担当
野口、田原、山野
TEL:050-5546-8374