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数理最適化ソリューション

数理最適化技術を活用して、製造、物流、流通、インフラ、金融など様々な分野での最適化・効率化を行うソリューションをご紹介します。

数理最適化とは

当社は長年にわたり、数理最適化技術を実務に適用してまいりました。ここでは数理最適化問題とは何か、そして現代社会で大規模複雑化する問題への当社のアプローチについてご説明します。

数理最適化問題とは複数のルールの範囲内で最も良い答えを見つける問題です。専門的にはルールを制約条件、答えの良し悪しを判断する指標値のことを目的関数、答えに相当するものを変数と呼びます。これらの用語を使って言い換えると数理最適化問題は複数の制約条件の下、目的関数を最小化(あるいは最大化)する変数を求める問題です。

以下のように、製造、物流、流通、インフラ、金融など、幅広い分野の課題に適用されています。

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数理最適化による実務課題の解決のための技術とノウハウ

実務課題に対して数理最適化を適用するには、下記のようなアプローチをとるのが一般的です。

  1. 要件定義:
    その業務の担当者からヒアリングし、考慮されている要件(守っているルール、良し悪しの基準など)を洗い出す
  2. 定式化・モデリング:
    1で整理した要件を変数、目的関数、制約条件で表現する
  3. 求解:
    2 の定式化に対して、適切なアルゴリズムを用いて求解する

与えられた課題を単純に定式化するだけでは実務においては不十分なケースがあります。実務に適用する上で、下記のようなポイントにノウハウが必要だと考えています。

要件定義の難しさ

スタッフの人員配置やシフトスケジューリングといった問題を例に考えてみましょう。
ある程度知見のある方であれば、考慮すべき制約条件として下記のような条件をあげられます。

  • 労働時間や残業時間に関する法令を遵守する
  • スタッフの希望(例. 有給休暇の申請や配置に関する要望)を考慮する
  • 要求される水準(例. 業務量に対する必要人数や特定業務に必要な資格の有無)を満たす

ただし、実際にこれらを定式化するだけでは実務への適用という観点では不十分です。人と人の相性や要求される水準とスタッフの希望が相反する場合の優先度といった暗黙知が現実の運用では考慮されています。一方で、暗黙知を全て制約条件として組み込むことが必ずしも正しいとは限りません。人と人の相性を管理するデータをメンテナンスし続けることは現実的に難しいかもしれません。
こうしたトレードオフを考慮して、現場に寄り添った意思決定を支援する技術として数理最適化を用いるというバランス感覚が、当社の長年培ってきたノウハウの核心です。

定式化・モデリングのノウハウ

変数の数が多く、大規模になるほど計算負荷は高くなります。さらに計算負荷は変数の数に比例するとは限らず、変数が数倍になると指数的に負荷が高くなり、現実的な時間で計算が完了しなくなるということがよくあります。似たような問題設定でも同じアプローチで解決できるとは限らず、問題の規模とアルゴリズムの相性も考慮しながら要件定義と定式化を行います。
非線形な問題にそのまま非線形の関数を用いて定式化すると、解くことが困難な問題クラスになってしまうことも多々あります(非線形の離散最適化問題など)。このような場合は精度を多少犠牲にして線形で近似するような定式化・モデリングも有効な方法の1つで、近似の精度と計算時間のトレードオフを見極めることも定式化・モデリングの際に重要な事項になります。
他にもデータがスパース(疎)なことを利用したモデリング、決定変数が膨大になるケースにおけるモデリング(列生成+組合せ)など、いくつものアプローチの可能性と各種アルゴリズムの性質、必要な計算時間や求められる答えの精度など総合的に判断して、実運用で使える定式化を行います。

自社開発の数理最適化パッケージによる求解

当社は数理最適化パッケージ Nuorium Optimizer を自社開発しているため、アルゴリズムに対する知見と実装技術、さらには各種アルゴリズムを組合せた求解フレームワークの構築に強みがあります。
Nuorium Optimizer には、問題種別(線形/二次/非線形)や変数種別(連続/離散)、解法(厳密解法/近似解法)に応じた各種アルゴリズムを搭載しています。各種アルゴリズムの実装には数学的な背景を理解しつつ、より高速に解くためにデータ構造の工夫や並列計算が必要です。弊社ではこれら両軸を研究開発として推進し、技術を日々更新しています。また、前項でご紹介した通り、大規模で複雑な問題を解く際には各種アルゴリズムを組合せて利用し、列生成法やラグランジュ緩和といったアプローチを用いた求解フレームワークを構築することもあります。
問題分類や問題規模、要求される計算性能(解の精度や計算時間等)を考慮して、適切なアルゴリズムを選択し、お客様の実務課題を解決しています。

適用例

今後の数理最適化

今後、実務課題はますます大規模複雑化することが予想されます。

サプライチェーンを例にとると、

  • 原材料をいかに効率良く調達するか
  • 工場でいかに効率良く生産するか
  • 製品等のモノをいかに効率良く輸配送するか

というそれぞれの個別最適だけでなく、調達・製造・流通・販売の全体最適に取り組む必要があり、大規模な実務課題に対して数理最適化を適用していくことが求められます。

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当社としては、Nuorium Optimizer の各種アルゴリズムの機能増強・性能向上に努めると共に、長年で培ってきたノウハウを武器に、大規模複雑化する数理最適化課題にアプローチしていきたいと考えています。
また、最近では数理最適化に関する技術やノウハウを自社で獲得しながら課題解決を進めたいお客様もいらっしゃいます。こうしたお客様にはコンサルティングという関わり方で実務適用へのポイントをお伝えしています。
お客様のご要望に合わせたあらゆるアプローチでこれからも課題を解決して参ります。

適用例