製造業の生産工程を効率化・自動化する技術をご紹介します。
工場の効率化・自動化
工場の効率化・自動化は古くから行われていますが、IT技術の進展によるインダストリー4.0のもとで、近年はデータ分析や機械学習の活用が進んでいます。一口に自動化と言っても対象となる人手の作業は、不良品検査やロボット・プラント制御など、いくつも考えられます。これらをひとまとめに解決できるわけではなく、タスクを切り分けて個別にシステム化していくことで、工場全体の効率化・自動化が推し進められます。
不良品検出・異常検出
不良品やシステム異状の検出には目視や音・振動などから人が異常を判別しているところを、機械学習により置き換えやサポートを行います。問題の難易度、異常ラベルの有無や、その質・量によって適用できる手法が変わります。問題設定に合わせて適切な手法を組み合わせて適用します。
適用例
制御自動化
制御の自動化については強化学習の活用が盛んです。制御したい環境のシミュレータを構築し、そのシミュレータ環境下で強化学習を行い最適な戦略を学習させます。工場の生産ラインでの生産スループットの向上、化学プラントにおける有害排出物制御のための薬剤投入の効率化、など様々な課題に適用されています。
適用例
生産スケジューリング
「複数の機械があり、処理の順序関係などを考慮して作業完了をできる限り早くしたい」といった問題は、生産現場にはよくあります。このような、機械や納期などの複雑な条件の下で適切な作業計画を決める問題(生産スケジューリング)の解決の自動化やサポートは数理最適化の得意分野です。
資材切り出し
製紙業・繊維業・鋼鉄業などの素材産業でよく現れるものに「資材切り出し問題」というものがあります。これは「与えられた条件・目標を考慮しながら、母材から必要とされる量の資材を切り出す」という問題です。
上のイメージは母材から資材を切り出す様子を表しています。実際には 様々な長さの資材を切り出すために、 刃の位置を変更しながら製品を作っていきます。 その際、以下のような多くの条件・目標を考慮することが可能です。
- 母材の幅を超えてはならない
- 母材の数には限りがある
- 母材からの切り出し剰余量の削減
- 使用母材数の低減
- 切り出しパターンの低減
- 段取り換えを少なくする
数理最適化問題として定式化しコンピュータで解くことで、計算を自動化しつつ、さらには余剰を減らしてコストを削減することも可能です。