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物流2024年問題に関わる物流業界の課題を、AIツールで学生が分析

NTTデータ数理システム学生研究奨励賞2023

2024年03月19日

ニュースリリース

株式会社NTTデータ数理システム

リリースノートのPDF版は こちら から

 株式会社NTTデータ数理システム(本社:東京都新宿区、代表取締役社長: 箱守 聰、以下、NTTデータ数理システム)は、2023年度の「NTTデータ数理システム学生研究奨励賞」を決定いたしました。

 最優秀賞には 東京理科大学 小野 百合香 さん の研究成果「ベイジアンネットワークによる心拍を用いたオーダーピッキング作業者の負担要因推定」、優秀賞には 東京理科大学 纐纈 潤大 さん の研究成果「持続可能なサプライチェーンの実現に向けた公平かつ効率的な企業間協調システムの提案と分析」が選ばれました。物流2024年問題が大きな社会課題となる中、それぞれ「物流におけるオーダーピッキング作業の軽減」「サプライチェーンの持続可能性」という物流業界の課題に対して、AIを活用した分析で改善案の検討を行うものです。

 これらの受賞研究成果は、NTTデータ数理システムのWEBページ内で発表します。

 NTTデータ数理システムでは、今後も社会課題解決の担い手となる人材育成に貢献できるよう、本取り組みを継続していきます。

背景およびNTTデータ数理システム学生研究奨励賞について

 昨今、さまざまな業種・業界において事業戦略の実現に向けたデジタル・トランスフォーメーションへの取り組みが一層加速しており、その根幹となるAI技術活用の取り組みの重要性が高まっています。また、その担い手となる数理科学に長けた人材の育成についても同様に重要性が高まっています。

 このような中、NTTデータ数理システムでは学生の学術研究の支援と発表の場の提供を目的として2003年度より「NTTデータ数理システム学生研究奨励賞」を設立。毎年、公募および表彰を実施しています。

 本取り組みは公募型の研究奨励賞であり、応募者(大学生、大学院生)には、当社で開発・販売しているAI関連(機械学習・統計解析、テキストマイニング、ベイジアンネットワーク、シミュレーション、数理最適化)のソフトウェアを無償で貸与します。応募者にこれらのソフトウェアを活用した研究を行っていただき、研究成果をご提出いただきます。 2023年度は62件の応募があり、最優秀賞、優秀賞等をはじめ数多くの優れた研究成果を表彰対象として選定いたしました。

2023年度の主な受賞研究成果について

■最優秀賞

受賞者

東京理科大学 小野 百合香 さん

タイトル

ベイジアンネットワークによる心拍を用いたオーダーピッキング作業者の負担要因推定

研究概要

物流業務の中核を担うオーダーピッキング作業では、人手不足の解消のために棚搬送ロボットが導入されて効率化が図られています。しかし、これを利用するための人手の作業に新たな身体的・心理的ストレスが発生しています。この作業における負担要因を明らかにしリアルタイムで負担度を評価できるようになることで、高齢者や女性を含めたより多くの人のストレスを軽減する作業設計や作業割当設計ができるようになることが期待されます。
本研究では、客観的かつリアルタイムで計測できる心拍指標と主観的なアンケート回答との関連をベイジアンネットワークでモデル化し分析しました。分析の結果、いくつかの心拍指標が負担要因の推定に有効であることが分かりました。

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図.構築したベイジアンネットワーク(提出資料より抜粋)

※ ベイジアンネットワークとは

ベイジアンネットワークとは、様々な事象間の因果関係(厳密には確率的な依存関係)をグラフ構造で表現するモデリング手法の一つです。故障診断や気象予測、医療的意思決定支援、マーケティング、レコメンドシステムなど様々な分野で利用されています。ベイジアンネットワークは、18世紀の数学者トーマス=ベイズが発見したベイズの定理を基本としています。ベイズの定理は二つの事象について直接の依存関係を表していますが、これを確率的に依存している複数の事象のネットワークへと拡張したのがベイジアンネットワークです。

■優秀賞

受賞者

東京理科大学 纐纈 潤大 さん

タイトル

持続可能なサプライチェーンの実現に向けた公平かつ効率的な企業間協調システムの提案と分析

研究概要

持続可能なサプライチェーン(以下、SC)の実現のためには、関連する複数の企業による相反する要求を整理し、SC全体での利得と個別の企業の利得のバランスを調整する必要があります。
本研究では、シミュレーションモデルと数理最適化モデルを連結させることにより、汎用性と実務適合性を両立するモデルを構築。動的に変化するSCの状況をシミュレーションモデルで、期ごとの企業間の協調戦略を数理最適化モデルで表現しました。このモデルを利用してシミュレーションを行い、企業間協調を重視することで公平性が改善するが経済性は悪化するという結果を得ました。

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図.シミュレーション結果(提出資料より抜粋)

今後、今回のシミュレーションでは含まれていないSCのより上流での経済性、企業間協調による生産計画の効率化による間接的な経済性の向上なども考慮してモデル改善、分析を行うことで、企業間協調の経済的メリットを分析していきます。

受賞研究成果の発表

上記の研究成果を含む受賞研究成果は、NTTデータ数理システムのWEBページで発表します。

https://www.msi.co.jp/event/stuaward/sa2023.html

NTTデータ数理システムのAI関連ソフトウェア

NTTデータ数理システムでは、AI活用に関連したソフトウェアの開発、販売を行っています。

NTTデータ数理システム学生研究奨励賞では、応募者に下記のソフトウェアを無償貸与し、研究にご活用いただきました。

本件に関するお問い合わせ先

株式会社NTTデータ数理システム
営業企画部
五十嵐
Tel: 03-3358-1701
E-Mail: pr-info@ml.msi.co.jp