非線形関数の Shannon 展開

5. 非線形関数の Shannon 展開#

5.1. 導入#

\(0\)-\(1\) 整数変数 \(x\in\mathbb{B}\) を含む関数 \(f\) があったとしよう. 但し,\(\#\)\(x\) 以外のモデルを記述する定数や \(x\) 以外の変数を表す.

(1)#\[f(x,\#)\]

さて \(f\) が一見して非線形に見える場合でも,実は線形となる場合もある. そのためのトリックが Shannon 展開である.

5.2. Shannon 展開#

今,次の展開を考えよう.

(2)#\[f(x,\#) = f(0,\#) + g(\#) x\]

この変形の両辺で \(x=1\) と置いて係数部分 \(g\) を求めて書き直すと,次が得られる.

(3)#\[f(x,\#) = f(0,\#) + (f(1,\#) - f(0,\#)) x\]

ところでこれは次のようにも整理できる.

(4)#\[f(x,\#) = \bar{x}\cdot f(0,\#) + x\cdot f(1,\#)\]

ここで \(\bar{x}=1-x\) である. これは特に \(f\) が論理関数であれば,論理変数 \(x\) についての Shannon 展開に他ならない. 今はこのことをもっと一般の非線形な関数に拡張したものである.

この非線形関数の Shannon 展開は次の例題で見るように, 場合によっては線形関数に帰着させることができる.

5.3. 例題#

もし \(f(x,\#)\) について,\(\#\) が定数だけであったならば,\(f\) は一般に線形関数に帰着される.

例えば次のような等式変形を考えることができる.

(5)#\[\frac{a}{b+cx} = \frac{a}{b} + \left(\frac{a}{b+c} - \frac{a}{b}\right) x,\]
(6)#\[\sin(x+\theta) = \sin\theta + (\sin(1+\theta) - \sin\theta) x\]

ここで \(a,b,c,\theta\) が定数であれば,これらの右辺は陽に線形関数である.

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