コンピュータサイエンスが数理科学を現実に接続する

当社は図のように「数理科学とコンピュータサイエンス」全域を事業領域として、長年にわたって技術を磨き続けてきました。
有限の時間と計算機資源の制約の中で安定に結果を出すことを旨とする情報システムにとって、メモリに乗り切らない大きさの行列データ、組合せ的長さの探索、数万オブジェクトの相互作用を扱う数理科学手法の組込みは厄介な課題であり、コンピュータサイエンスの活用が欠かせません。
潤沢な計算機資源が深層学習を現実に可能とし、それを使った大規模言語モデルがビジネスに変革をもたらしている、といった華々しい事例の一方で、様々な事情から古い計算機環境に閉じ込められている技術があります。数理科学手法の特性が情報システムとの不整合を起こし、価値が損われている事例もあります。

数理科学は情報システムの中に組み込み、現場のユーザーに使われてはじめて価値を発揮するものです。

数理科学とコンピュータサイエンスの双方を熟知している我々はこれからも現場で価値を出し続ける情報システムの実現に貢献し続けます。

機械学習手法をシステム化

現場データを整備して、特徴量を選択、様々な機械学習モデルをアンサンブルして一定の精度を出すプログラムができたとしても、そのまま情報システムに組込めるわけではありません。
PoC でデータを見ながら行ったアドホックな処理をシステムの「仕様」としてすべて組み込むことは必ずしもできないでしょう。
処理が正しく実装されたとしても不満足な結果になることはあり得ます。そもそも機械学習モデルの精度はデータの品質やデータの生成メカニズムに大きく依存します。
様々な例外が起きた場合の対処、データが準備できてから計算を走らせるタイミングの制御や計算リソースの確保など、情報システムを安定に運用する側面から考えるべきことも多数あります。
デスクトップツールのプロトタイピングから、クラウド上の情報基盤上で動作する大規模システムの計算エンジンまで、幅広い実装経験と数理科学の知識をあわせもつ我々だからわかることが数多くあります。

HPC を活用した大規模計算

クラウド上での仮想環境や GPU など、我々が利用できる計算機資源の選択肢は大きく広がり、規模も飛躍的に増大しました。
ただ、大規模エージェントシミュレーションや、三次元形状シミュレーションなど、アプリケーションによっては、まだまだ十分とは言えません。
詳細さ、正確性、そして自動化を限りなく追求する数理科学アプリケーションの要請はそもそも人間の想像力を背景としており、物理的な制約を持つ計算機資源が完全に追いつくことはおそらくありません。
だから計算機の特性を引き出すアルゴリズムの改良や計算手法の改善は終わりのないテーマであり、大規模並列化を実現するハードウエア、量子計算など、様々な手法が開発されています。
我々は新しいコンピューティング環境から現実の価値を生み出すことに貢献します。

数理モデル化のご提案

パンデミックへの対処やグリーン経済を背景とするエネルギー政策やものづくりの変化、ネットを介した摩擦のない情報伝達を背景とした情報の信頼性の評価など、我々の社会は大きく動き、数理科学による解決が求められる局面が増えてきました。
しかし、数理科学技術はまだまだ不器用で、適用範囲も限られています。あたりまえのように利用され、様々な立場の方々の意思決定に寄与するようになるには、まだ時間と努力が必要です。
我々は現実の問題を数理モデルという形で切り取って結果を出し、情報システムの中にそれらを役立つ形で組み込む仕事をしてきました。 その経験を背景に、現場の方々との対話を重ね、数理的な側面から未知の課題に対するアプローチを探す支援を行います。