ベイジアンネットワークで分析したい

因果マッピングアイコン、 構造学習アイコン、 推論アイコン、ネットワーク編集アイコンを利用してベイジアンネットワークによる分析をおこなう方法を説明します。

説明

ベイジアンネットワークの機能である、因果マッピングアイコン構造学習アイコン推論アイコン および ネットワーク編集アイコン の利用方法を説明します。

image.png

本記事では入力データとして、以下の表に示す「顧客データ」を利用します。
顧客データの中でも、「性別」、「年代」、「居住地」、「職業」、「世帯構成」という顧客の属性の列とその顧客が優良顧客であるか非優良顧客であるかを示す「利益.Grp」の列を利用します。 顧客データはAlkanoチュートリアルで利用しているデータを加工したものです。詳細についてはAlkanoチュートリアルをご参照ください。

image.png

使い方

因果マッピングアイコン構造学習アイコン推論アイコンネットワーク編集アイコン は、Alkano・BayoLinkSのメニューの「ベイジアンネットワーク」カテゴリに用意されています。

image.png

以下で、因果マッピングアイコン構造学習アイコン推論アイコンネットワーク編集アイコン の使い方をご紹介します。

因果マッピングアイコン

因果マッピングアイコン は、ベイジアンネットワークの制約条件を設定する際に利用します。
本記事では、性別、年代、居住地、職業、世帯構成、優良・非優良フラグ(利益.Grp)のすべての属性同士を親ノードの候補とします。

  1. データに 因果マッピングアイコン を接続します。
  2. パラメータ設定画面のデータインポートパネルで、分析に利用する属性を選択し「ダイアグラムに追加する」を押します。

image.png

  1. 追加された属性間に矢印を引き、ネットワークの親子関係を設定します。矢印の元が親、矢印の先が子です。

image.png

本記事では分析に利用するすべての属性を1つのグループにして、グループ自身への矢印を引いています。 これはグループに属するすべての属性同士がダイアグラムの親ノードの候補になることを意味しています。

  1. 「制約条件を生成」を押します。

上記手順で示したように、 因果マッピングアイコン では、属性のグループを作成し、属性間の関係性を設定することが可能です。

詳細はBayoLinkSマニュアルの 因果マッピングアイコン の項目をご覧ください。

構造学習アイコン

構造学習アイコン は、 因果マッピングアイコン で設定した制約条件を元に、実データに基づいて因果ネットワークを作成するために利用します。

  1. 因果マッピングアイコン に、 構造学習アイコン を接続します。

  2. データを 構造学習アイコン に接続します。

  3. 構造学習アイコン のインプット設定画面を開き、図のように入力設定をおこないます。

image.png

  1. 構造学習アイコン の設定画面を開き、分析に用いる属性を指定します。

image.png

  1. 実行を押します。

上記手順でベイジアンネットワークの構造学習が実行されます。

ネットワーク編集アイコン

ネットワーク編集アイコン は、構造学習アイコン で学習されたベイジアンネットワークを可視化して分析するために利用します。

  1. 構造学習アイコン に、 ネットワーク編集アイコン を接続します。

image.png

  1. ネットワーク編集アイコン をダブルクリックします。
  2. Ctrl-Aを押してすべてのノードを選択状態にして、「推論モニターを開きます」を押し、「推論を実行」をクリックします。
  3. 「自動配置」から「横に階層配置」を押して整列させます。

image.png

  1. 推論モニターにエビデンスを入力して推論が可能な状態になります。

ネットワーク編集アイコンの利用方法については、BayoLinkSマニュアルの ネットワーク編集アイコン の項目をご参照ください。

推論アイコン

推論アイコン は、構造学習アイコン で学習したベイジアンネットワークを用いて、新規データに対する推論をおこなうために利用します。

  1. 構造学習アイコン に、 推論アイコン を接続します。
  2. 新規データを、 推論アイコン に接続します。
  3. 推論アイコン のインプット設定画面を開き、図のように、table列に推論をするデータの行、bif列に構造学習の出力のbifの行、node列に構造学習の出力のnodeの行を対応させます。

image.png

  1. 推論アイコン の設定画面を開き、推論したい目的変数を選びます。また、推論に用いる説明変数を選びます。

image.png

  1. 実行を押します。

上記手順によって、ベイジアンネットワークを用いて、目的変数に指定した項目を推論することができます。

推論に用いる新規データとして、以下の表のデータを入力しています。
目的変数は「利益.Grp」列、説明変数は性別、年代、居住地、職業、世帯構成です。

image.png

推論の実行結果は以下のようになっています。
元データに存在しなかった「利益.Grp」列が推論され、新たに追加されたことがわかります。

image.png

推論アイコンの利用方法については、BayoLinkSマニュアルの 推論アイコン の項目をご参照ください。

注意事項

ベイジアンネットワークで分析をするためのアイコンの入力設定は、複雑なことがあります。
ノード実行時にエラーが出た場合は、インプット設定画面を確認し、入力が正しいかどうか確認してください。

分析への応用

要因分析を行う手法として、ベイジアンネットワークのほかに決定木という手法があります。
決定木においても、目的変数と関連性が強い説明変数を探す分析や新規データに対する予測を行うことが可能です。

一方で、ベイジアンネットワークと決定木では、次の点が異なります。

  • ベイジアンネットワークの ネットワーク編集アイコン では、モデルを構築した後でも推論ごとに目的変数と説明変数を自由に設定できます。一方で、決定木は同一モデル内で目的変数と説明変数を変更することはできません。
  • ベイジアンネットワークは各変数間の関係性をネットワーク構造で扱います。一方で決定木は説明変数と目的変数の間の関係性のみを可視化します。
  • ベイジアンネットワークの一機能である 推論アイコン では、目的変数を予測するだけでなく、空白の値を推論によって埋めることが可能です。一方で、決定木では目的変数の予測のみが行えます。
  • ベイジアンネットワークを利用する場合、列の型はカテゴリである必要があります。一方で、決定木はカテゴリ列だけではなく数値列も利用することが可能です。

関連項目

  • BayoLinkSマニュアル
    • 3.2 構造学習
    • 3.4 推論
    • 3.7 因果マッピング
    • 3.9 ネットワーク編集